2021.05.19

6Lの枡でぴったり1Lを量る方法は? 伝統的な「和」の雑学数学お教えします

覚えて帰ろう〈雑学数学〉
横山 明日希 プロフィール

「油分け算」と「不定方程式」

不定方程式とはなにか? 簡単にいうと、通常の方程式は、

x+3=5

という一次方程式や

x+y=6
2x+3y=16

の連立方程式ように、未知数xやyの値が定まるような式のことを指します。

一方で、不定方程式では解が特定の値に定まるというより、複数の組み合わせがあるような式となります。

たとえば上の連立方程式の1つだけの式

x+y=6

だけが与えられた場合、これは不定方程式といってよいでしょう。x と y の組み合わせが

(x, y) = (2, 4) (1, 5) (0, 6) …

と、整数解に限ったとしても無限に存在します(もちろん2x+3y=16単体でも不定方程式となります)。

さて、このような不定方程式には以下のような性質があります。

「a, b を互いに素な整数としたとき、方程式 ax+by=1 を満たすような整数解 x, y が存在する」

証明はここでは割愛しますが、たとえば冒頭で取り上げた5Lと3Lの問題で考えると、

5x+3y=1 を満たす整数解 x, y が存在する

といった性質があるのです。

この場合、x と y の1つの解は

(x, y) = (-1, 2)

となるわけですが、これが何を表しているのでしょうか。文章でいうならば、

「ある容器に3Lの容器で2杯水を入れて、そのあと5Lの容器で1杯水をすくって捨てると、残りは1Lとなる」

ということなのです。これで、不定方程式と油分け算の関係性が見えてきたことでしょう。

Photo by iStock

冒頭で紹介していた問題は4Lをはかるという問題でしたので

5x+3y=4

の x, y も考えてみましょう。解の1つは

(x, y) = (2, -2)

つまり、

「ある容器に5Lの容器で2杯水を入れて、そのあと3Lの容器で2杯水をすくって捨てると、残りは4Lとなる」

ということ。

冒頭の問題と見比べて見ると、実はほぼ同じ行動をとっていることになります。

まず「5Lの容器に水を入れ」、そこから3Lの容器が満タンになるように注ぎます。すると、5Lの容器には2Lの水が残ります。「3Lの容器に入っている水をすべて捨て」、5Lの容器に入っている2Lの水を3Lの容器に入れなおします。「ふたたび5Lの容器に水を入れ」、3Lの容器が満タンになるように移し替えると、3Lの容器には1Lだけが注がれることになります。つまり、5Lの容器には4Lの水が残ります。

カギ括弧で括った部分で、5Lの容器に水を2杯入れ、3Lの容器で水を1杯捨てていることがわかります。また、最後に3Lの容器に残った3L分の水は4Lの水には関係ないので、実質捨てられたものと考えると、3Lの容器2杯分捨てていることになります。

不定方程式と油分け算の関連性がわかったことで、

「どんな容器を用意しても、任意の量を作ることができるのか」

の疑問を解決することができました。つまり、

「互いに素である値の量の容器同士であれば、任意の整数値の量を作ることができる」

ということです。これは油分け算を解くことへのハードルを下げる知識であり、また、油分け算の問題を簡単に作ることができる知識といえるでしょう。ぜひ、色々と値を変えて考えてみるとよいでしょう。

ただし注意として、容器が3つの場合で、その容器のなかで水を行ったり来たりさせるような問題だとこの方法が利用できませんのでお気を付けください。

関連記事