飲酒とがんのリスクの関係

次に、「アルコールは少量でも健康に悪い」の代表的な論文を紹介したいと思います。2018年に『ランセット』に出た論文では、「少量飲酒は、心臓病や糖尿病を減らすが、がんや交通事故などのリスクを上げ、つまるところ、健康にいい飲酒量はゼロである」という結論が示されています(※9)。これは195カ国において、1990年から2016年にかけて調査を行った大規模な研究ですが、メリットよりもデメリットが大きいと結論づけています。

WHO(世界保健機関)でも、飲酒は口腔や咽頭、食道、肝臓、大腸などで発がん性があると評価され、IARC(国際がん研究機関。WHOの機関の1つ)では「ヒトに対する発がん性がある」とされるグループ1に分類されます。

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日本で2005年に発表された、7万3000人の男女を対象に約10年追跡したコホート研究(特定の要因にさらされた集団とそうでない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較する研究)でも、男性のがんに関して、大量の飲酒がリスクになることが指摘されました。

この研究によると、1日3合以上飲む人は、1.61倍のリスクがあるという結果が出て
います。ただ、この研究では、「ときどき飲む」という人のリスクがもっとも低く、「飲まない」が1.1倍のリスク、「1日1合未満」「1日1〜2合」は1.2倍弱のリスクとなっています。これが「1日2〜3合飲む人」になると、1.43倍のリスクとなり、やや高くなります。

上記を考えると、飲酒は「少量であれば大きく問題はない」とも言えるかもしれません。