自力で歩けないほど体調が悪化

ティミショアラという何にもない田舎の駅からセルビアのベオグラードに向けて列車が走り出したが、正直歩いたほうが速いんじゃというほど遅い速度で列車は走行。途中、国境でパスポートが乗務員に回収されて、無事スタンプが押されて戻ってきた。

雪が降り積もる影響なのか、列車は信じられないほどゆっくりとした速度で走っていた。写真提供/歩りえこ

そして2時間ほどかかって、ようやくベオグラードへと到着。ベオグラードに着くと、ますます熱が上がり、自力で歩けないほど体調が悪化していた。身体が頑丈なことだけが取り柄だったが、さすがに旅の疲れが一気に出てしまったようだ。

疲れだけでなく、東欧の冬は想像以上の極寒だった。零下35度以上というこれまで体感したことのない寒さで東欧を周っていたこともあり、身体がすっかり参ってしまったようだ。

134年続いたベオグラード駅は2020年に閉鎖され、博物館となる。写真提供/歩りえこ

少女たちに助けられながら足を引きずるようにして、ベオグラード駅の近くにあるユースホステルに着いた。宿の受付に着くと、少女がスタッフに事情を説明してくれている。私は受付にあるソファに倒れ込んだまま自力で動くことができない状態だ。

そこにスーパーの袋を手に提げた20代後半らしき長身で色白、栗色の髪、目鼻立ちが整った優しそうな顔つきの青年がやってきて、少女たちと会話し始めた。セルビア語なのでよく分からないが、青年はひょいと私の身体を抱き抱えて2階へと行き、男女混合ドミトリー部屋のベッドへ寝かせてくれた。

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「ありがとう……」朦朧としながらも何とか英語でお礼を言うと、青年はセルビア語で何かを言った。何て言っているのか全く分からないが「もう大丈夫。ゆっくり寝て」と言っているような気がして、そのまま泥のように眠り込んだ。

ベオグラード要塞は外壁や城門などが残る天然の博物館のようになっている。観光客というよりも地元の人がのんびりと寛ぐ場所だ。写真提供/歩りえこ