警察官が途中下車…移動しなきゃ!

私は目を開けたままの状態で夜明けを待ち続けた。が、深夜3時頃になると、警察官たちは全員ふらふらした足取りで途中下車してしまった。マズイ……発車する前に移動しなきゃ! 大慌てでバックパックを担ぎ、手当たり次第にコンパートメントを開けて人のいる場所に座らせてもらうことにした。

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しかし、どのコンパートメントも内側から鍵がかけられているのか開かない。早く安全に座れる場所を見つけないと盗賊と痴漢の餌食だ。ようやく6つ目のコンパートメントのドアが開き、17~19歳くらいだろうか? うら若き乙女2人がいるコンパートメントが偶然にも開いた

でも、こんな乙女だけで大丈夫だろうか? 列車は動き出してしまうし、早くどこかに座らないと……。少女たちは驚いた表情をしながらこう言った。「こっちに座って。もう盗賊は降りた頃だから、怯えなくて大丈夫よ」

私は余程怯えた表情をしていたのだろうか? この辺りの治安に詳しそうな地元少女たちと一緒に座り、暫く会話していると少しずつ夜が明けてきた。明るくなればもう大丈夫かも。そう感じたと同時に張り詰めていたものが解放されて、急激な睡魔が襲って来た。

どれくらい時間が経っただろう? いつの間にか寝ていたようで少女たちに起こされた。「起きて!ベオグラードに行くんでしょう?一度乗り換えが必要なのよ。さあ、一緒に行きましょう」

目を開けると白銀の世界が窓から飛び込んで来た。深く積もった雪が太陽に反射して眩しい。起き上がると強烈な眩暈で倒れそうになった。汗をぐっしょりとかいている。思わず額に手を当てると、信じられないくらいに熱い。39度以上はありそうだ。

「大丈夫?」少女の1人が自分のおでこを私のおでこにくっつけた。高い鼻が私の鼻とぶつかる。スラブ系の少女はまるでロシア人形のように美しい。

「凄く熱い!歩ける?肩を貸すから乗り換えだけ頑張って歩こう!」少女たちに助けられて何とか列車の乗り換えをすると、意識が朦朧としたまま座席に横になった。

同じコンパートメントの少女たち。この後、ベオグラードのホテルまで助けてくれる。写真提供/歩りえこ