不登校ユーチューバー「ゆたぼん」が踏みにじる学校義務教育って何

中学校受験競争激化と根は同じ
山本 一郎 プロフィール

なぜ中学校受験が盛んになるのか

さらには、現在では2019年「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ」では、その冒頭に「育成を目指すべき資質・能力」として掲げている内容は「変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成」するとしています。

では、翻ってゆたぼんさんがしなかった宿題を「やれ」という教諭や、それでよしとするいまの学校教育の現場が、如何に精励したとして、このような文科省の提示する「育成を目指すべき資質・能力」を得られると思えるか、という難題にぶつかります。

親としては当然、宿題ぐらいはやってくれよ、他の子どもと比べても遜色ないぐらいの学識を身に着けてくれよと期待するところですが、いまの小学校や中学校に通って頑張ったところで、ここでいうような資質・能力が確実に育成されるような環境だろうか? と言われれば疑問を持つ保護者や子どもたちもたくさんいるのではないかと思います。

身の回りを見ても、特に東京・関東圏や近畿圏では中学受験が盛んで、将来的に意味があるかどうかはともかく、とにかく中学受験をして私立中学や都立・府立中学に「選抜されて入る」ことを目指します。

裏返せば、いまの区立、市立中学校の荒廃した学校環境をみんな知っていて、もしも選択肢があるのならばできればそういうところに我が子を預けたくない、という強い家庭の希望が出ていることをも意味します。

もちろん、風紀が荒れていない公立も少なくないとは思いますが、大丈夫だと信じて入学してみたら、他の子どもとの巡り合わせも含めて最悪の環境だった、というときには転校することしか子どもを救う方法がないのだとしたら、そんな博打は打ちたくないと思うのが保護者の本音じゃないでしょうか。

選択肢のない地方の公立はまだ統制が効いているかもしれませんが、確かに私が見聞きする東京の区立中学校の風紀の荒れ方は尋常ではなく、そこで教員として働く皆さんが本当に過労死するぐらいに頑張って子どもと向き合ってなお、これだけの悪評が出てしまっているというのは残念なことです。

教員・教諭の皆さんの苦労が報われないほど大変なことになっているのが日本の教育の現状ではないかと思いますし、小学校もセットで考えれば、ゆたぼんさんが教諭に「宿題をやれ」を含めて何らかのトラブルがあったとして、そういう教諭と子どもがストレスをかけて向き合わなければならない理由は実はあんまりありません。

何より、皆さんにもご経験はあるかと思いますが、それこそ明治以降の大部屋制の学校教育ではその年次ごとに概ねにおいて担任教諭が置かれ、その担任に子どもたちが学級運営の名のもとに「管理される」ことが大前提になっています。

 

その結果、クラス替えのある年次ごとにいわゆる「担任ガチャ」が発生し、当たった外れたと理不尽な巡り合わせを甘受しなければならない状況になります。ひいきの強い担任から目をかけてもらえない子どもは酷いストレスでしょうし、⾃主性を重んじる放任気味の担任とは相性の悪い「ある程度、しっかり面倒を見て欲しいと思っている」⼦どもや「目が届いていないとイジメも嫌がらせも何でもあり」の子どもは最悪の1年を送ることになります。学校も教諭も子どもも、かなりの我慢をしながら学校生活を送っているという面は、やはり強いのではないかと思います。

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