メディアは報じない…脱炭素の切り札「水素」が、世界経済に与える「スゴいインパクト」

このところ脱炭素に関する議論が活発になっており、「水素」の活用がメディアで取り上げられるケースも増えている。だが、水素については多くの誤解があり、誤った解釈をしている記事も多い。

脱炭素シフトに水素が重要な役割を果たすのは事実だが、水素というのは再生可能エネルギーや原子力など二酸化炭素を排出しないエネルギー源とセットにすべきものであり、水素そのものが脱炭素問題を解決するわけではない。この事実をしっかり抑えておかないと、適切な水素活用を阻害する可能性もある。

 

水素単体では脱炭素問題を解決することはできない

学校の理科で習ったと思うが、水素の原子番号は1番であり、もっとも軽い元素である。水素の元素記号はHなので、水素を酸化(燃焼)させるとH2O(水)になる。つまり、水素は燃やしても水しか生成しないので、水素単体で見ればクリーンなエネルギー源と考えてよい。

〔PHOTO〕iStock

水素はもっとも存在量が多い元素でもあるが、自然界では単体としてほとんど存在しておらず、ほぼすべてが化合物となっている(もっとも代表的なのは水)。したがって水素を燃やせる状態で利用するためには、化合物から単体の水素を生産する必要があり、ここで大量のエネルギーが必要となる。

つまり水素を作るためには、石油や原子力、風力といったエネルギーが必要であり、自然界に存在する状態のままでは使いモノにならないのだ。

石炭や石油、原子力、風力などは、自然界に存在する状態でそのままエネルギーを取り出せることから「1次エネルギー」と呼ばれる。一方、水素はこうした1次エネルギーを使ってあらたに生産するエネルギーなので、「2次エネルギー」と呼ばれている。言い方を変えれば、水素というのはエネルギーを変換したり移動したりする手段であって、根源的なエネルギー源ではない。

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