民意を無視し「玉砕五輪」へ突き進む“ワクチン後進国”日本の恐ろしさ

いったいどこが「安心・安全」なのか

まさに「玉砕五輪」

昨日(5月10日)の『読売新聞』が、衝撃的な世論調査の結果を発表した。5月7日~9日の全国調査で、7月23日に開幕予定の東京オリンピック・パラリンピックについて、「中止すべきだ」と回答した人が、59%に上ったというのだ。以下、「観客を入れずに開催すべきだ」23%、「観客を制限して開催すべきだ」16%などとなっている。

調査を実施した5月7日と言えば、夜に菅義偉首相が緊急記者会見を行った日である。この会見は私も見ていたが、周知のように、5月11日までだった4都府県の緊急事態宣言を、5月末日まで延長するということなどが主旨だった。長広舌の中で、なかなか東京五輪に関する話をしないのでもどかしかったが、ようやく、ファイザー社からのワクチン供給の話の中で、サラリとこう述べた。

「また、ファイザー社との協議においては、東京大会に参加する各国の選手団に対し、ワクチンを無償で供与したいという申出がありました。IOC(国際オリンピック委員会)と協議の結果、各国選手への供与が実現し、安全・安心の大会に大きく貢献することになると思います」

これは、「東京オリンピック・パラリンピックは開催する」という前提に立った発言と受けとめられる。だが、菅首相本人はそれ以上、冒頭発言で言及しなかった。

菅首相の発言に続き、この日は珍しく、16人もの記者たちの質問に答えた。その中で、東京大会の開催に関する質問は、3問出た。そこだけをピックアップすると、以下の通りである。

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共同通信記者: 「菅総理にオリンピック・パラリンピックについて質問いたします。新型コロナ禍でも今年夏の東京五輪・パラリンピックは開催できるのか、あるいは開催していいのか、国民の間にもアスリートの間にも不安や疑念が広がっています。

どのような感染状況になってもIOCが中止を判断しない限り日本政府として開催に向けた取組を続けるという立場は変わらないのでしょうか。国民の命と暮らしを守ることと五輪・パラリンピック開催の両立は本当に可能なのか、総理の決意と責任について認識をお聞きします」

菅首相: 「まず、東京五輪の開催について心配の声が国民の皆さんから挙がっていることについては承知しております。まずは現在の感染拡大防止に全力を投入してまいります。東京大会の開催に当たっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり行っていく、そして、国民の命と健康を守っていく、これが大事だと思っています。

先日、訪米の際、先ほども申し上げましたが、ファイザーのCEOとの協議の中で東京五輪の各国の選手などに対してワクチンを無償で供給したい、供与したい、そういう申出がありまして、IOCと協議の結果、各国選手へのワクチン供与、ここが実現することになりました。

 

さらに、選手や大会関係者と一般の国民が交わらないように、滞在先や移動手段、ここを限定したい。さらに、選手は毎日検査を行うなどの厳格な感染対策を検討しております。こうした対策を徹底することで、国民の命や健康を守り、安全・安心の大会を実現する。このことは可能と考えており、しっかり準備をしていきたい、このように思います」

Sky TG24 italy記者: 「こんばんは、総理。イタリアのピオ・デミリアと申します。外国の選手は、大体の人がワクチンを打ったという状態で来日すると思いますけれども、そのときまでに日本の選手もみんな打つという状態で保証できますか。そういう質問です。よろしく」

菅首相: 「まず、私が訪米した際にファイザー社のCEOと電話会談し、ファイザー社からオリンピックの選手団にワクチンの提供の提案がありました。それを私は受けて、IOCと相談の上、各国選手へのワクチンの無償の提供を行うことになりました。

当然、日本の選手の分もその中にありますので、その接種についても、JOC(日本オリンピック委員会)の山下会長などから要望が表明されていますので、担当の丸川大臣を中心として対応していきたい。その中には、世界の選手の中の一部として、日本の選手団にも接種したい、そういう方向になるだろうというふうに思います」

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京都新聞記者: 「東京五輪・パラリンピックについてお伺いします。大会の中止を求めるオンライン署名が現在行われていまして、開始3日目で20万人を超える署名が集まりました。これは素直な国民の世論だと思います。

一方で、現在、東京大会のテスト大会が都内中心に行われていますけれども、現場に取材に行ってアスリートの話を聞いていますと、このコロナで社会が大変なときにスポーツをすることとか、五輪を目指すことに対して、社会からの厳しい風当たりみたいなものを感じているようで、そこに非常に苦しんでいるように見えます。

総理の方から、現状、こうした状況に置かれているアスリートに対して、何かかける言葉というかメッセージみたいなものがありましたら、よろしくお願いします」

菅首相: 「まず、東京大会に向けてテストイベントも数多く行っています。大会本番を想定して、感染対策を徹底しているということです。そしてまた、これは具体的に、外国の選手については、一般の国民が交わらないようにする対策、また、選手は毎日検査を行うなど、厳格な感染対策を行っているところです。

テストイベントを行うことによって様々な知見がありますので、そうした中で安全・安心な大会にするので、是非懸命に取り組んでいただきたい、そういうふうに思っています」

 

このように菅首相は、開催地の東京でいくら緊急事態宣言を延長しようが、五輪開催に、いささかの迷いもなく突進していく構えを表明したのである。最近にわかにネットやSNS上で反乱している言葉を使えば、まさに「玉砕五輪」だ。

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