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小・中学生の女子はなぜ「うち」という一人称を使うのか? その深すぎる理由

彼女たちが抱えている「ジレンマ」

「ことば」と「自分らしさ」

筆者は「社会言語学」を専門に研究してきた。この分野は、ことばの社会的な側面に注目するが、ここでは、ことばを使って私たちは「自分らしさ」をどのように表現しているのかという問題を取り上げよう。

「ことば」には情報を伝えるという重要な役割があるが、それと同時に、会話に関わっている人同士の関係やイメージも伝えている。

最も分かりやすい「人称詞」の例で言えば、自分を「わたし」と呼ぶか「ぼく」と呼ぶかで、話し手のイメージは変わってくる。また、聞き手を「○○さん」と呼ぶか、「○○」と呼び捨てにするかで、話し手と聞き手の関係も変わる。さらに、会話に登場した人を、「あの人」と呼ぶか「あいつ」と呼ぶかで、その登場した人の印象も変わる。

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つまり「ことば」には、自分はどんな人間なのか、聞き手とどんな関係にあるのか、また、話題に上がっている人をどう思っているのかなどを伝える働きもあるのだ。

だから、私たちは、自分を「おれ」と呼んだり、時には、「ぼく」や「お父さん」などと自称して、その時々の自分らしさを表現している。

そんな身近な、無意識とも言える、「ことばで自分らしさを表現する」行為だが、あまりにも当たり前過ぎて、自分とは違う方法で自分らしさを表現する人に出会うと、戸惑ったり、理解できなかったり、しまいには、腹が立つ人もいるようだ。

そんな、なかなか理解されない例のひとつが、小中学生の女子が使う「うち・ぼく・おれ」だ。

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