現在、NHK大河ドラマ『青天を衝け』に出演中の橋本さん。日本近代資本主義の父と言われる渋沢栄一の妻を演じている。実業家として成功する裏で、女性の教育や社会福祉にも尽力した氏は、橋本さんにはどう映っているのだろう。

「渋沢さんは、ビジネスはお金を稼ぐためにあるのではなく、人を助けるためにあるという考えを持ち続けた人。ビジネスマンのイメージが強いですが、じつは農家の生まれで、江戸に遊学したのちは討幕を企てたりもしているんです。攘夷であれビジネスであれ、その根っこにあるのは今の社会ではダメだという危機感や、国を変えて人々を幸せにしたいという強い思い。貧富の差や身分制度など、生まれた時からあたり前にあるものに対して疑問を抱けるというのは、教養はもちろん、情熱や心根の優しさがあったからこそだと思います」

実業家と俳優。まったく違う職業だが、「働く」という点で強く共感する部分があるという。

「自分もこの仕事をお金のためだけにやっていないし、じゃあ何のためかと考えると、今生きている人たちのためだと思うんです。私自身、映画や音楽、文学といった芸術に生かされてきた人間なので、一言のセリフが誰かの考え方や人生を変えてしまう、そのことがよくわかるんです。だからこそ表現するときにはその先にいるたったひとりのことを考えるし、そうじゃないとやる意味がない。渋沢さんは、どうしてもお金や経済と切り離せないビジネスという分野で、それでもその先にいる人々の生活や心、環境をも見通して仕事をしていた。そういう人がいたということは、すごく心強いですね」

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