10年以上のキャリアを積んだ身。「演技を学びたい」と申し出るのは勇気がいることだった。

「教えてもらうなんて、楽しようとしてるんじゃないかって思ってしまって。結構長い間言い出せませんでした。でも2020年に公開された『グッドバイ』という映画に出演したとき、成島出監督がはっきりと『下手だね』って言ってくださって、それで吹っ切れたんです。そうだよね、学ばないとダメだよねって(笑)」

以来、演技は180度変わった。

「感情を演じるのではなくて、行動を演じるというのが演技の基礎だと教わったんです。例えば涙を流すようなシーンの場合、それまで私はずっと悲しい、悲しいって思って演じていたんです。でも大切なのは、なぜ悲しいのか? という部分。感情を演じるのではなくて、その人が何を求めていて、何が手に入らないのか、その部分を行動として表現すれば、自然と感情は湧き出てくるんだと。それを実践してみたら、“うわ、本当だ!”って」

演じることの根本が変わった体験だった。

「尊敬している先輩方はみなさん“役を生きて”いて、その姿に憧れつつも、自分はただ“演じる”だけで“生き”られない。でも最近、少しずつそこに近づけているような気がして、演じることがすごく楽しい。今はこれ以上面白みを感じられる仕事はないと思っています」

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