ナイフで脅迫、睾丸破裂…韓国芸能&スポーツ界で“いじめMeToo”が止まらないワケ

高月 靖 プロフィール

芸能界にも吹き荒れる“いじめMeToo”

芸能界では、まず男性俳優チョ・ビョンギュ(25)に対する告発が2月16日から複数回にわたって投稿された。ニュージーランド留学時代に集団による言葉の暴力を受けたなどとする内容だ。チョ・ビョンギュは否定したが、 4月3日放送開始のKBSバラエティ「カムバックホーム」の司会を下ろされることになった。

続いて同月22日には、女優パク・ヘス(26)にも波及。暴言、暴力、恐喝などの行為を告発されたパク・ヘスは事実無根と反論したが、同月26日に放送開始予定だったKBSの主演ドラマ「Dear. M」は無期限の放送延期となっている。

同月28日には女性アイドルグループAprilから脱退したメンバーの弟を名乗る人物が、グループ内でいじめがあったと主張。またその翌日には、Aprilのイ・ナウン(22)から小学生時代にいじめを受けたとの告発文が投稿された。

いずれも真相は不明だが、結局イ・ナウンも主要キャストに起用されていたSBSドラマ「模範タクシー」から降板する羽目に。4月9日放送開始の同ドラマはその時点で6割以上の撮影が終わっていたが、これもやはり撮り直しとなった。

 

“倫理”を消費する時代

一連の告発は、おおむねどれも10~20年ほど前の被害が対象だ。確かに韓国で学校暴力予防法が制定された00年代前半から中頃、またいじめ自殺が社会問題化した2011年前後は、校内暴力が深刻だった時期だ。だがそれがなぜいまになって、スポーツや芸能界のスター相手の告発が連鎖的に頻発しているのだろうか。

いじめのトラウマ体験は長い年月をはさんでフラッシュバックする、という議論もある。だが現地大手紙「ハンギョレ」は「倫理消費の時代…“正義”の名の下にスターの人間性を検証する」と題した記事(2021年3月15日付)で、次のような専門家の分析を紹介した。

「最近のLH事件(韓国土地住宅公社の職員が内部情報を元に土地投機を行っていたとされる事件)に見られる通り、社会のあらゆる分野で原則が正しく機能していない現実に失望した人々は、自分が参加して変えることができる何かにより積極的に反応しているようだ」

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