バイデン政権の外交、内政について、パックンと元外交官が深堀り解説

パックン×中川浩一(前編)
パトリック・ハーラン×中川浩一

パックン 1979年の人質事件は記憶に残ってます。8歳か9歳のころです。テレビでリアルタイムで見ていた私は、イランは敵国だと思っていました。しかし、大人になって、大学の宗教学部でイスラムのことを勉強したりして、見方は少し変わりました。大学でイラン人の友達もできて、イランを敵国だとする単純な考えは浅すぎると考えなおしました。1979年の事件以前は、アメリカとイランは実は友好関係にあったわけですから。

 

中川 イランでは、大統領選挙が6月にあるのですが、ハメネイ最高指導者は、わざと強硬派の大統領を誕生させて、強い立場でアメリカ・バイデン政権と交渉したいと考えているとの見方もあります。イランにとっても、アメリカには簡単に降りられない国内状況があるんです。

パックン 6月のイランの選挙で、強硬派の大統領が選ばれたら、トランプ政権の「負の遺産」のトップ5に入ると思います。トランプ大統領が勝手に破棄したのだから、本来ならアメリカが無条件で復帰しなきゃいけない話だと私は思います。

たしかに、イラン核合意は、完璧な合意ではなかったかもしれませんが、まずはアメリカが復帰して、その後、より良い合意を目指して交渉を続けるべきだと思います。

中川 イラン核合意への復帰は、バイデン外交で引き続き大きなアジェンダになると思いますので、6月のイラン大統領選挙の結果も含め要注目ですね。

ハメネイ師(photo by gettyimages)

TPP(環太平洋経済連携協定)への復帰も困難

パックン 国際協調主義の観点からは、TPP(環太平洋経済連携協定)への復帰という問題もあります。バイデン大統領は選挙公約で、この問題にはほとんど触れていませんでした。もともと民主党は、どちらかというと労働組合の仲間であって、海外の工場にアメリカの雇用が奪われてしまうから、自由貿易協定には反対の立場です。

しかし、NAFTA(北米自由貿易協定)をビル・クリントン大統領が作ったり、TPPをオバマ大統領が作ったり、民主党政権時に「労働者を裏切る」ような政策が進んだから、労働者がごっそり共和党のトランプ大統領の方に行ってしまったという背景もあるんです。バイデン大統領は、口では保護主義とは絶対言わないですけど、少なくとも大型の自由貿易協定は結べないと思います。それがアメリカの労働者のためでもあると思いますので、私は、バイデン政権がTPPに復帰することは期待してないんです。

(後編はこちら

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/