バイデン政権の外交、内政について、パックンと元外交官が深堀り解説

パックン×中川浩一(前編)
パトリック・ハーラン×中川浩一

トランプ時代は、アメリカ史上異例の4年間

パックン 今は、コロナで非常事態でもあるので、中川さんのご質問に答えるのは難しい状況です。コロナがなければ、バイデン大統領も本当は海外に飛んでいるはずですが、実際は、海外どころか、国内のイベントにもそんなに出席していませんし、大統領としての正式な記者会見も少ないんです。また、バイデン大統領が史上最年長の大統領ということで、コロナへの気の使い方が並大抵でないのも影響しています。

 

外国との接し方で、何が変わったかというと、バイデン大統領は、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席をけん制するような発言をしていますが、日本や他の同盟国に対しては、敵対するような発言は何一つしていません。これに対し、トランプ前大統領は、アメリカに対する脅威はと聞かれて、「ヨーロッパ連合」と答えました。それが具体的に何を意図したものか、当時はよくわかりませんでした。ヨーロッパは経済的な脅威でもないし、NATOの加盟国は、アメリカの軍事的な同盟国でもあるからです。トランプ前大統領は、適当に話しているときもあれば、本気で敵対するような姿勢を見せるときもありました。そのようなアメリカ大統領の発言は、トランプ以前はなく、バイデン大統領就任以降もないはず。まさにトランプ時代は、異例の4年間だったと言えると思います

トランプ前大統領は、俺様的な自分中心のパフォーマンスを見せていましたが、具体的に米国と他国との関係を強化したかといったら、成果はほとんど見当たりません。トランプは北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と2回も会談しましたけど、何も生み出しませんでした。ミサイルの発射や核実験が止まったという人もいますが、だからといって非核化に向けて進んだかというと、進んでいません。パフォーマンス中心のトランプ前大統領と、実務中心のバイデン大統領の違いじゃないかと思います。日本にもかつて「仕事人内閣」というのがありましたね。たぶんバイデン政権はそっち系じゃないかと思います。

バイデン大統領とハリス副大統領(photo by gettyimages)

トップダウン」か「ボトムアップ」か、「パフォーマンス重視」か「実務重視」か

中川 私は、オバマ政権時代に、ワシントンの日本大使館に勤務していたのですが、その時のカウンターパートが、今、バイデン政権の高官になっています。彼らは、バイデン政権の外交は、トランプ時代のようにトップダウンではなく、実務家の積み上げ方式なので、関係者が多く調整で忙しいと言っていました。

外交にとって、どちらがいいかは分かりませんが、トランプ政権とバイデン政権では、「トップダウン」か「ボトムアップ」か、「パフォーマンス重視」か「実務重視」かという大きな違いがあると思います。

バイデン政権の顔ぶれは「多様性」がキーワード

パックン ただ、バイデン大統領もパフォーマンスを気にしてないことはありません。バイデン政権の顔ぶれを見ると、「多様性」を意識しているのが良く分かります。政権要職への数多くの「女性」の任用に加え、「黒人」として初の国防長官となったオースティン国防長官、「先住民族(ネイティブアメリカン)」出身の初の閣僚となったハーランド内務長官、「同性愛」を公表した初の閣僚となったブティジェッジ運輸長官などです。

ただ、任用された人は、いずれもそれなりの適した資格、経験を持っている方なので、トランプ政権のティラソン国務長官のように、突然外交経験のないビジネスマンを選んでいるわけではありません。利己的に動いているような人をその立場につけてもいません。バイデン政権には経験者が多く、本来のあるべき姿に戻ったと思います。ちょっと評価しすぎているように聞こえるかもしれませんが、でも、息苦しかったトランプ政権からちょっと解放された感じはありますね。

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