パトリック・ハーラン氏(左)、中川浩一氏(右)

バイデン政権の外交、内政について、パックンと元外交官が深堀り解説

パックン×中川浩一(前編)
お笑い芸人から報道番組のコメンテーター、大学講師まで幅広く活躍中のパトリック・ハーラン氏(パックン)と、元外交官で、アメリカの日本大使館勤務の経験もある中川浩一氏『総理通訳の外国語勉強法』著者、現・三菱総合研究所主席研究員)が、バイデン政権の外交、内政、日米関係について語り合った。

世界は「国民ファースト」、日本は「リーダー・ファースト」

中川 バイデン大統領は、なぜ日本の菅総理を、対面で会談する最初の外国首脳に選んだのでしょうか。私は、元外交官なので、日米関係が進展することは素直に喜びたい面もありますが、知日派アメリカ人としてパックンはどのように見ていますか。

 

パックン 菅総理がわざわざアメリカまで来てくれるというのは大きいと思います。また、日本は世界的に見ればコロナの感染を抑え込めている国なので、日本の国内状況が首相のアメリカ訪問を許すわけです。隣国のカナダは、感染が拡大していて、首脳が外国に行ける状況ではありません。ヨーロッパも大変なことになっています。

これらの国々では、国民が、「アメリカを訪問している場合ではないよ!」と首相や大統領にストップをかけるのではないでしょうか。国民が海外旅行を許されていない中で、なぜリーダーが率先していくのか。普通は首脳の周辺が、「リーダーが率先していったら反感を買いますよ」とかアドバイスをするんですけど、日本ではそういう議論がまったくないですね。

4年前も、トランプが大統領に就任する前に、安倍総理は黄金のゴルフクラブをもって、わざわざアメリカに飛んで行きましたけど、他の国の国民なら、反トランプ感情が強くて、許さなかったと思います。日本国民はそのあたりが首相に対してすごくやさしいと思います。世界は「国民ファースト」が普通なのに、日本は「リーダー・ファースト」になっている。だから、バイデン大統領が菅総理と対面で会ったのも、本当にバイデン政権による「抜擢」だったのか、あるいは単にアメリカに行きますといった初の外国首脳だっただけなのか、冷静に見る必要があると思います。

もう一つは、トランプ前大統領が同盟国を軽視したのに対して、バイデン大統領は、従来の同盟国を重視する。中国ではなく日本に重きを置くことで、同盟国重視の姿勢、アメリカが本来の外交に戻ったことを世界にアピールする狙いがあったと思います。

中川 日本は、アメリカに対しては、総理が何番目に会ったのかということをとても気にする国です。日本のメディアも関心が高く、意図的にとりあげる傾向にあります。たとえば、中東におけるアメリカ最大の同盟国であるイスラエルのネタニヤフ首相とバイデン大統領の最初の電話会談は、政権発足1ヵ月後でした。日本の菅総理はバイデン大統領との電話会談の順番も、イスラエルよりは早かった。

私は、順番がすべてではないし、過度な強調もよくないと思いますが、やはり外交にとってはそれなりに大事だなと思っています。いまだにバイデン大統領と電話会談すらできていない国もあるからです。パックンは、トランプ時代の4年間の日米関係をどう振り返り、また、これからバイデン大統領の下で日米関係はどう変わっていくと思いますか。

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