壮絶な内容とは裏腹にひなのさんの表情はどこまでも清々しい。親子関係や家庭環境を過去のものとして手放せるようになるまで、胸の内ではどんな道のりがあったのか。

「もちろん親を恨むこともできたし、実際に絶縁している時期もありました。けれど、それで解決ではないし、気持ちもすっきりしない。結果論なんですが、私はどんなに理不尽な目に遭わされても、されてしまった人よりしてしまった人の方がツラいはずだとあるときから思うようになりました。私はされた側だから恨まれることも憎まれることもない。してしまった側のほうが本当の意味ではツラいんだろうなって。だから、とにかく許そうと。どうしても好きになれない部分はもちろんあるけれど、それでも許そうとずっと思い続けてきました」

しがらみがあるならば私の代で絶対に終わらせる

現在、ひなのさんは2人の子どもを育てる母であり、もうすぐ3人目を出産予定。自身の幼少期の経験がもたらしたのは「子どもには私のような思いを絶対にさせない」という強い決意。一方で、夫と過ごす時間の中、子育てをする中で、母親の影が自分の中でくすぶるような瞬間がふとした時に訪れることもあるという。

「子どもを妊娠したときに、まず子どもには私みたいな思いを絶対にさせたくないと思った。私みたいな親子関係にもなりたくないとも。私は親から褒められたこともないし、自分の意見を尊重されることなく生きてきたけど、子どもだからといってわからないわけじゃなかった。『子どもでもわかっているのに』と常にもどかしさを抱えて過ごしてきた。

提供/幻冬舎
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だから子どもであることを理由にないがしろにしないで、一人の人として接しているつもり。今、娘が9歳なんですけど、私から見ていると娘は今の時点で人生を楽しんでいるし、自分は幸せだってよく口にしているし、誰に対してもまっすぐ堂々と接している。私の子ども時代とはまったく違っていて、こんな私が育てている割にうまくいっているんじゃないかなって思っています。

自分が母親になるとき、“人は同じことを繰り返してしまう”と耳にしたり、読んだことがあったので、それをしないためにどうしたらいいんだろうとすごく考えました。常に気をつけているつもりでも、ふとした時に母親の口癖を自分が口にしているときがあるんです。夫に対して、気づかないうちに母と同じことを言ってしまって、『あっ!』って気づいて反省する。知らずしらずに自分の中に根付いたものをなくすのは難しいだろうけど、ネガティブを生むことはなくしていきたいし、私は幸せな連鎖しか起こしたくないから」