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新型コロナで1兆円減収…JR決算から見えてきた「深刻すぎる現実」

2021年度も決して楽観できない

2020年の2月から拡大が始まった新型コロナにより、さまざまな産業分野の多くの企業が収益の減少で厳しい経営を余儀なくされている。しかも、感染の拡大は現在も続いており、次年度(2021年度)の経営も楽観できない、気の抜けない状況である。

JR旅客会社のうち、東日本、東海、西日本のいわゆる本州3社は、それぞれ東京、大阪の大都市路線や東海道新幹線という収益部門を持つため、安定経営のもとで着実に経営を拡大し、社内留保を厚くして来ていた。

少しくらいの減収・減益ならば、経営はびくともしないのであるが、今回の新型コロナは、兆の桁の収益を持つ会社の売り上げ規模が半減するという未曽有の危機であり、これからの需要の回復も見通せないところで、その影響は深刻である。

 

JR東日本

JR東日本は、エキナカ開発ほか関連事業の拡大を進めてきたが、鉄道事業の事業規模が大きく、連結決算に対する鉄道事業の収益の比率が大きいのが特徴である。

JR東日本の利益は、鉄道事業のなかでも首都圏の通勤輸送が稼ぎ出している部分が大きく、営業収益では、中長距離旅客が中心の新幹線旅客の比率が大きい。

新型コロナの感染拡大により、稼ぎ頭の首都圏の在来線で前年度の4割以上にあたる3111億円の減収。新幹線旅客も前年度比で7割に当たる3710億円の減収となった。

鉄道旅客は、緊急事態宣言が発出された第1四半期には前年度比2割程度まで減少したが、その後次第に回復して、第3四半期の10月~12月には首都圏の在来線は前年度の8割近くまでとなった。

もともと政府は、5月から6月にかけて新規感染者数が減少に向かったことから、観光需要の喚起策として「Go to トラベル」を7月下旬に前倒しで実施。そのころから感染者数が増加に転じ、8月には第2波が襲った。その後いったん沈静化に向かったものの、11月頃から再び増加に転じ、年末年始の第3波まで増え続けた。

感染初期には、政府は、人出を8割に抑えることで感染拡大を緩やかにしてピークを遅らせ、年末にはワクチン接種が始まれば、感染拡大は止められるとしていた。しかし現実は政府のシナリオ通りには進まなかった。

その後、やや沈静化したものの、3月末から再び増加のピッチが強まり、JR東日本の首都圏の在来線や新幹線の旅客が減少した。なお、2021年3月の旅客数が回復しているような数字が見て取れるが、これは前年度の3月に新型コロナの感染拡大で外出の自粛が叫ばれ、鉄道旅客が大きく減少した反動によるものである。

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