〔PHOTO〕Gettyimages

ドイツ、第3波ロックダウン中でも「メーデーの暴動」は例年通りヤバかった

国民はコロナのストレスを溜め込んで…

メーデーの暴動と緑の党

もし、こんな暴動が日本で起こったら、国民は大ショックを受け、政権がひっくり返るのではないかと思うが、ドイツでは、暴動はメーデーの恒例行事だ。

5月1日は祝日で、津々浦々で労働者の集会がある。そして、その中の一部がエスカレートすることも、それが、労働者の権利とはほとんど関係がないこともわかっている。エスカレートする場所も、ベルリン、ハンブルク、ケルン、フランクフルトなどの一定の地区と、30年以上ほぼ決まっている。そして、それが毎年、飽きもせずに繰り返される。

Gettyimages

デモの自由が憲法に謳われている限り、酔っ払いが暴れることや、負傷者が出ることが分かっていても、禁止はしない。その度に、他州の機動隊の応援を要請するため、警備のために使われる税金は膨大になり、しかも、何の益ももたらさない。

暴動の中心となる地区の商店なども手慣れたもので、すでに前日からショーウインドーは板で覆い、路上に駐車していた車は安全な場所に移動し、完璧な自衛モードに入る。一帯は前日から警官により封鎖され、機動隊の車が並び、大量のロケット花火や、ガラス瓶の持ち込みなどが監視される。

Gettyimages

それでも毎年のように、街が闇に沈んだ頃から、あちこちで火の手が上がり、器物が壊され、道路の敷石が剥がされて投石に使われ、ロケット花火が警官を狙い撃ち、ガラス瓶が投げられ……といった光景がテレビ中継される。彼らにしてみれば、人を傷つけない器物の破損などは、合法の範疇に入っているのではないか。

 

それに対して、警官隊も放水したり、催涙ガスを発射したり、時には白兵戦になったりするものの、警官は常に躊躇しながらの応戦だ。ドイツで警官が頑張りすぎると、すぐに「警察国家」と叩かれるところは日本とよく似ている。ドイツ国は民主主義の名の下、多少、警官に危険があっても、暴徒の人権を守る。

ただ、今年に限っては、どういう展開になるか、ちょっと読めないところがあった。コロナのせいで、「緊急ブレーキ」と名付けられた厳しいロックダウンがかかっており、夜間の外出は22時から翌朝の5時まで禁じられている。

そんな中、日中に全国のあちこちで行われたデモ行進は、いずれも平和的に終了した。ところが、案の定というべきか、ベルリンでは、20時ごろから打って変わって事態が暴力的になった。21時半ごろ、各デモ隊の代表者が終了の宣言をしたころ、すでにあちこちで火の手が上がり、23時になってもデモは終わるどころか、混乱は一層ひどくなった。

Gettyimages

ベルリンの今年のデモの参加者は約2万人でいつもより多かった。コロナのストレスを溜め込んでしまった多くの人々も集まってきたのだろう。対する警官隊は5000人。翌日の発表によれば、逮捕者が354人。93人の警官が負傷した。警官は、ギリギリまで持ち堪えてからしか反撃できないから、負傷者が多い。ちなみに、過去のベルリンのメーデーでは、500人もの警官が負傷した年もあった。

メーデーのデモは、元々は、左翼、及び極左の祭典で、常に反政府、反資本主義を叫んでいたが、右翼も参加するようになってすでに久しく、警官隊は毎年、それらを接触させないことに神経を使う。ただ、激しい暴力を振るうのは、伝統的に極左と言われ、今回も、警官に骨折など重症を負わせたのは、主に極左の暴力集団だったそうだ。

興味深かったのは、今回、首相候補として総選挙に打って出る緑の党のベアボック氏が、「バリケードに火をつけ、警官に暴行を振るうことは犯罪であり、決して看過できない」と強く非難したことだ。

Gettyimages

緑の党は左翼なので、これまでは、暴力がエスカレートしたのは、警察が大掛かりな警戒でデモ隊を刺激したからだとか、放水はやり過ぎだなど、どちらかと言えば、デモ隊を擁護することが多かった。

 

しかし、今回のコメントは抑制的で、ベアボック氏がすでに、少なくとも政権への参画を意識しているのが明らかだ。この調子では、緑の党が本当に政権を担えば、その政策は、これまでの言動とはかなり変わってくるのかもしれない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら
編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/