自分が感じたことを純度の高いまま発信

ーー「今、仕事をしているときが一番楽しいんですよ」と剛力さん。本作を通して、橋爪功さんや高畑淳子さんをはじめとする大先輩たちとの共演、等身大の亜矢という役柄を演じたことは、芝居への欲を刺激された。

「脚本をいただいたときは、お終活は自分にはまだ関係のないことという印象でした。でも、大切な人のことを考えたらお終活は決してネガティブなことじゃなくて、人生をどう終わらせるのを考えることはむしろ楽しいことにつながるんだと気付かされたんです。そして何よりも、橋爪さんと高畑さん、この両親の娘になりたい!と出演を決めました。

熟年夫婦を演じた橋爪功さん(左)と高畑淳子さん(中央)。(C)2021「お終活」製作委員会

実際に、現場ではお二人とのシーンが多かったんですが、大先輩なのにいつもの自分でいさせてくれる空気を作ってくださった。橋爪功さんとお会いしたときはめちゃくちゃ緊張してしまって、現場にいらっしゃるだけで空気が変わるほどの存在感だったんです。だけど、橋爪さんはその空気を察して、ちょっと笑わせてくださったり、でもきちっと締めるとこは締めてくださる。『あぁ、お父さんだな』と。高畑さんも『彩芽ちゃん!』とそばにきて声をかけてくださる機会が多くて、私もすぐにお二人の娘になれたんです。

剛力家と映画内での大原家を比べると、私の父は橋爪功さんが演じる父よりはもうちょっと柔らかいけれど、夫婦の関係性は重なる部分もありました。家族で文句を言い合ってるけれど、それはお互いを信頼しているからこそのやりとりであって、その様子がすごく好きで。風通しのいい家庭環境だからこそ亜矢も真っ直ぐ成長したんだろうなってイメージができました。

撮影/生田祐介

作品の中で印象に残っているのは橋爪さんの怒る芝居。すごく静かに怒るんですけど、めちゃくちゃ怖くて(笑)。怒るというのは大声を張り上げるだけではないんだなと学ばせていただきつつ、人生の経験値からくる表現なのかな?と想像するのも楽しかったです。そういった学びを今の時点で経験できたことも幸せだなと。演じている瞬間だけ役に没頭し、カットがかかれば、またいつもの橋爪さんに戻る姿も勉強になりました。

 

役者は私の軸ではあるけれど、いろんな視点があっていいし、最も伝わる方法で表現することで自分の感じたことを純度の高いまま発信していきたい。改めてお芝居も極めていけるように努力を重ねたいです。出会った人からもらった言葉や感情を自分の中で消化して、糧に変えながら」

(C)2021「お終活」製作委員会

映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方
仕事や子育てがひと段落した熟年夫婦が“お終活”に直面し、人生が大きく動き出すコミカルなヒューマンコメディ。結婚50年を迎えようとする大原真一(橋爪功)と千賀子(高畑淳子)の熟年夫婦は、夫婦喧嘩が絶えない日々を送り離婚寸前。キッチンカーを経営する娘の亜矢(剛力彩芽)が、葬儀社で働く菅野(水野勝)と出会ったことから終活の存在を知り、亜矢は千賀子に終活フェアへの参加を勧める。ところが前向きに今後を考える千賀子とは反対に、真一は「縁起でもない!」と、夫婦の大騒動が勃発してしまう……。
5月21日(金)より全国ロードショー。https://oshu-katsu.com/
(C)2021「お終活」製作委員会


取材・文/長嶺葉月 撮影/生田祐介 ヘアメイク/高城裕子 スタイリスト/小谷雄太