Photo by gettyimages

拉致問題の解決はさらに難しく…バイデン政権の「方針転換」で日本を襲う余波

ここが菅政権の「正念場」だ

一見「もっともらしい」新たな外交方針

米国のジョー・バイデン政権が北朝鮮政策を転換した。ドナルド・トランプ前政権が軍事力を背景に非核化を求めたのに対して、バイデン政権は「段階的な非核化」を目指す方針だ。これは、成功するだろうか。私は日本人拉致問題の解決も含めて、悲観的だ。

アントニー・ブリンケン国務長官は5月3日、ロンドンで日本の茂木敏充外相と会談し、新たな対北朝鮮政策について説明した。会談に先立って、5月1日付の米ワシントン・ポスト紙は、バイデン政権が北朝鮮と「段階的な合意(a phased agreement)」を目指す方針と報じた(https://www.washingtonpost.com/national-security/biden-administration-forges-new-path-on-north-korea-crisis-in-wake-of-trump-and-obama-failures/2021/04/30/c8bef4f2-a9a9-11eb-b166-174b63ea6007_story.html)。

アントニー・ブリンケン米国務長官[Photo by gettyimages]
 

バイデン政権が北朝鮮に提示する新政策の具体的内容は明らかになっていないが、同紙によれば、政府高官は「調整された現実的な外交のアプローチ(a calibrated, practical approach to diplomacy)」と呼んでいる。その一方で「一歩ずつの合意(a "step by step" agreement)」という言い方を避けている、という。

ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5月2日、米ABCテレビの番組で「我々は北朝鮮に敵意を抱いていない。問題の解決を求めている。我々は朝鮮半島の完全な非核化を目指して外交を進める。すべてかゼロかではなく、調整された現実的なアプローチがボールを動かす最善のチャンスになる」と語った(https://abcnews.go.com/ThisWeek/video/proud-jake-sullivan-us-aid-india-77449581)。

ワシントン・ポストやABCは「非核化に応じない限り交渉しない」というバラク・オバマ政権の「戦略的忍耐」や「完全非核化に応じれば制裁を解除する」としたトランプ政権の「グランド・バーゲン(大きな取引)」と比較して、バイデン政権の北朝鮮政策を「中間的なアプローチ」と評価した。

従来の政策が失敗した経験を踏まえれば、バイデン政権の新政策は一見、もっともらしい。だが、軍事力を伴わない外交に頼って、北朝鮮が非核化に応じる、とは思えない。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がトランプ氏との直接交渉に応じたのは、トランプ政権が日本海に空母を集結させ、軍事攻撃をちらつかせたからだ。

2019年、板門店にて会談したトランプ前米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長[Photo by gettyimages]
 
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら
編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/