豪華客船タイタニック号、映画の沈没シーンは間違っていた? 船のプロが徹底検証!

“縦”ではなく“横”向きに沈んだ
播田 安弘 プロフィール

ひとつ、有力視されている説に「石炭庫火災説」があります。事故後にある研究者から、タイタニック中央部の石炭庫で石炭が自然発火し、出航時すでに小火災が発生していたとの指摘がありました。そのために石炭庫の外板部の強度が不足し、船体が折れたのではないかというのです。

しかし、石炭が自然発火しやすいのは事実としても、石炭庫に火災が起きていれば、船員が石炭を積み替えるときに、さすがに気がついたのではないかと思われます。

それよりも筆者は、タイタニックの設計上の問題を指摘したいと思います。

 

沈没の原因は「壁の低さ」だった?

タイタニックでは前述のように、船首の近くのハッチから積み込んだ石炭を、中央部のボイラー室にある石炭庫まで運ぶ必要がありました。中央部には客室もあるため、ハッチをつくって大量の石炭を積み込むのは問題があったのでしょう。

しかし、船首からボイラーまで石炭を手押し車に載せて通行するためには、この区間の横隔壁を、障害にならないように低くしなくてはなりませんでした。甲板の高さで比べると、他の区画は21.7mのところ、この区画は14.3mとなっています。横隔壁も同程度に低かったのです。これが、タイタニックの命取りになりました。

タイタニックの満載喫水(船の最下面から水面までの距離)は10.84mですが、船首近くが損傷して浸水すれば、当然、船首部が沈下して喫水が下がり、浸水の水位が14.3m以上になるのにそう時間はかかりません。浸水が隔壁を乗り越えて後部へ流れ込めば、さらに浸水量が増えていきます。すると、船の復原力(横復原力)は徐々に低下し、やがては復原不能になり船は横転します。

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