豪華客船タイタニック号、映画の沈没シーンは間違っていた? 船のプロが徹底検証!

“縦”ではなく“横”向きに沈んだ
播田 安弘 プロフィール

タイタニックは全長が269.1 m、全幅は28.2 m。全長/全幅は9.54で、これは非常に細長い船であるといえます。たとえばシンフォニー・オブ・ザ・シーズは、客室を広くしたため縦強度を強くする必要もあり、全長/全幅は5.6と、太くて短い船型になっています。

スマートな形で生まれてきたことで、タイタニックは抵抗を緩和し、快適な乗り心地も手に入れることができました。しかし、この選択は両刃の剣でもあったのです。

船が傾いたときに元に戻ろうとする力を「復原力」といいます。横方向の傾きに対する復原力は「横復原力」、縦方向の傾きに対する復原力は「縦復原力」です。横復原力は船の幅の2乗に比例し、幅を2倍にすれば4倍になり、逆に幅を1/2にすれば1/4になります。タイタニックは幅が狭い細長型を選択したことで、横復原力はなんとか許容される範囲にとどまっていたのです。

不可解な石炭庫の位置

次に、タイタニックの構造をみていきます。一般に、船体が損傷する原因の多くは、座礁および他船や氷山などとの衝突です。このため、座礁に対しては船底を二重にして強度を上げ、衝突に対しては横隔壁(船内を横に区切る隔壁)を多く配置して、浸水が局所的に限定されるようにします。タイタニックでは、船体を全通して二重底となっており、15枚の横隔壁で16区画に区切られていました。

タイタニック号の図面(ウィキメディア・コモンズ)
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【タイタニックの区画と隔壁】
石炭は船首に近い3区画(No.3)のハッチから積み込み、そこから各ボイラー室近く各石炭庫に運ばれた。このため石炭庫上面約14.6mより上は横隔壁がなかったと思われる。隔壁があると、隔壁と同じ強度のスライド式の頑丈な水密ドアを設置する必要があり、大量の石炭を移動するには非常に不便である。
 

しかし、図面で各機関の配置を見ると、タイタニックの設計には大きな違和感があります。石炭を石炭庫に積み込むための積み付けハッチが、船首にかなり近いところにあるのです。石炭庫は当然、ボイラーの近くに配置すべきものであり、ボイラーは船の中央部にあるものです。

ところがタイタニックでは、船首近くのハッチから石炭を積み込み、中央のボイラー室の傍にある石炭庫まで手押し車などで運んでいたと考えられます。これは大変な手間です。

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