豪華客船タイタニック号、映画の沈没シーンは間違っていた? 船のプロが徹底検証!

“縦”ではなく“横”向きに沈んだ
播田 安弘 プロフィール

ついでにいうと、タンカーの大きさは容積ではなく、搭載可能な貨物の重量を「重量トン」で表します。30万トン級の超大型タンカーといえば、原油を約30万トン積めるという意味です。軍艦の大きさは「排水トン」で表し、これは船自体の重さです。アルキメデスの原理により、船の重さは船が排除した水の体積、すなわち排水量から算出できるのです。日本の戦艦大和の排出量は約7万トンでした。

排水量でみれば、タイタニックは約4万トンと推定され、これは当時の客船では世界最大級でした。現在の世界最大の客船は米国のシンフォニー・オブ・ザ・シーズで、排水量は約10万トンです。

世界最大の客船シンフォニー・オブ・ザ・シーズ[Photo by gettyimages]
 

次にスピードです。ロンドンからニューヨークまでの海路は、3273海里(約6062km、1海里は1852m)です。タイタニックはこれを最大速度24ノット(およそ時速45km、1ノットは時速1852 m)で、約6日間で航行することになっていました。一等特別室の航海費用は、6日間で4350ドルほどでした。

現在のジェット旅客機なら時速800kmほどで約7時間、格安航空券を買えば4万円程度で飛べるところ、なんとも悠長に思えます。しかし、まだ航空機が発展途上だった当時、船にはスピードも求められていました。じつはタイタニックは、当時としては世界最速レベルの乗り物だったのです。船旅が世界の港をゆったりと回って楽しむスタイルが主流になったのは、航空機が発達してからのことです。

しかし皮肉にも、タイタニックの悲劇はこの大きさと速さがもたらしたものではないかとも思えるのです。

非常に細長かったタイタニック号

船は航走時に、水の大きな抵抗を受けます。大まかには、船体が水と接することで生じる「摩擦抵抗」と、船体が水に波を起こすことで生じる「造波抵抗」の2種類で、船が大きくなって幅が広がるほど、あるいは速度が上がるほど、抵抗は大きくなります。

世界最大級にして最速級の客船タイタニックにとって、抵抗をいかに小さくするかは「宿命」ともいえる課題でした。流体力学や船型学も未発達だった当時、タイタニックが選択したのが、できるだけ幅を小さくして、細長い船型にすることでした。

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