「JAPAN’S AUTHENTIC LUXURY」の略語となる造語「JAXURY」とは、『日本が誇るほんもの』を意味します。そんな“ほんもの”を見極めるための新たなる指針に基づいて、JAXURY委員会がファッション、美容、宿泊、飲料、茶菓子、器・道具、インテリア、ライフスタイル……オールジャンルから選定した「JAXURY アワード」を開催。いま私たちにとってのJAXURYなブランドの素晴らしさを知る喜びは、本当に送りたい毎日を、生活を、人生を、あたらめて発見する喜びにもきっとつながるはず。

今回は、「信頼」部門賞を受賞した一澤信三郎帆布をはじめ、土屋鞄製造所、前原光榮商店をご紹介します。

●JAXURY委員会のメンバー
小山薫堂さん(放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティ)、前野隆司さん(慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授)、重松理さん(ユナイテッドアローズ名誉会長)、奈良宗久さん(裏千家今日庵業躰)、齋藤薫さん(美容ジャーナリスト、エッセイスト)、森岡弘さん(ファッションディレクター、スタイリスト)、隅谷彰宏さん(テイラーアンドクロース株式会社 代表取締役)、川合寛妥さん(株式会社赤坂柿山 代表取締役社長)、吉岡久美子(講談社 FRaU JAXURY号編集責任)

一澤信三郎帆布
帆布鞄

職人が支える100年続くかばんづくり

上質な麻帆布はヨーロッパから麻糸を輸入し、日本で織り、オリジナルの色に染めている。シャキッとなめらかな手触りは綿帆布とまた違う質感で、使い込むと馴染んで柔らかくなり、経年変化も味わえる。写真上から・麻帆布〈生成り〉(大/H40×W37×D20)¥23100、〈緑・青・ワイン〉(中/H30×W35×D22)各¥18700/一澤信三郎帆布(一澤信三郎帆布)☎075-541-0436

「修繕してまた使う」ことがここまで浸透しているかばんも珍しい。京都・東山のお店のすぐそばに工房があり、ミシンと木槌の音が絶え間なく続く。職人が素材選びから製作、お直しまですべてがここで完結する「製造直売」のかたちを守り、多品種少量生産のこだわりを持ち続けることで、廃番や廃色をなくし、柄や色のバリエーションが多いのも特徴。

ここで使用される綿帆布、麻帆布はすべて特別に織られ、味わい深い色に染められたオリジナルの生地。もちろん、糸や金具もすべて特注。戦前からあるミシンを使い、デザインの発案、裁断、縫製に至るまですべてが職人の手作業により作られる。100年以上変わらない「手間ひまを惜しまない」モノづくりは、一点一点職人がじっくりと帆布と向き合い、触り、愛着を持って手作りすることで完成する。

販売者の都合でシーズンごとに商品を発表するのではなく、職人が発案したのち、それを実際に1年間使用してみて、良ければはじめて商品化される……。その姿勢を知っているからこそ、客はこの店を愛し、修繕しながらここの商品を使い続ける……。そんな店と客の信頼関係が素晴らしい(脚本家・放送作家 小山薫堂さん)

土屋鞄製造所
ブラックヌメ トート

無難だからではなく意思を持って選びたい“黒”がある

トートはブラックのヌメ革を大きな一枚革で贅沢に使用。荷物がザクッと入る充実のキャパシティに加え、肩掛けがしやすい長めのハンドル設計など、使いやすさにも配慮。懐の広さが自慢の一品。ブラックヌメ トート(H34×W38.5×D14)¥89100/土屋鞄製造所(土屋鞄製造所)☎0120-907-647

1965年、ランドセル工房としてスタートした土屋鞄製造所。創業から50年以上を経て、あらためて「土屋鞄らしさ」とは何かを掘り下げ、誕生したのがブランドの真骨頂とも言えるブラックヌメシリーズ。堅い印象を抱かれる黒と親しみやすく素朴な雰囲気を持つヌメ革、 鋭い角や直線のラインと、やわらかな丸……。

テーマに掲げたのは、相反する要素が重なり合うことで生まれる「調和」。異なる要素を組み合わせながらも調和がとれているのは、職人による熟練の技術の賜物。複雑さを内包した単純ではないシンプルさに加え、それぞれのアイテムに奥行きのある佇まいを感じる。“意思のある黒”として持つ人の個性に寄り添うアイテム。

前原光榮商店
皇室御用達の傘ブランド

傘を持つことで得られる満足感こそがラグジュアリー

前原の傘は生地の種類を始め、骨の長さや数、手元の素材、タッセルなどの付属品などあらゆるパーツを選ぶことが可能。なかでも、前原らしい16本の骨組みタイプは、骨の本数が多いので傘を開いたとき円形に近くなり、華やかで安定感のあるシルエットに。写真右から・紳士・ディライン- オレンジ×ネイビー(10本骨)¥24200~、婦人・ボーダー-L-カーボン-ペールグリーン(16本骨)¥18700~、紳士・トラッド-16-ブルーグレー(16本骨)¥19800~、婦人・トラッド-08-L-ピンク(8本骨)¥11000~、婦人・藤ごころ-カーボン-赤紫(16本骨)¥30800~/前原光榮商店コールセンター(前原光榮商店)☎0120-63-2288

雨をしのぐ道具ではなく、持つことでスタイルの格があがる傘がある。1948年創業。3代にわたり作り続ける老舗傘メーカー、前原光榮商店。昔ながらの製法を受け継ぎ、メイドインジャパンにこだわった熟練の傘職人による傘は、皇室をはじめ数多くの著名な人々に愛されている。前原の傘には定番の8本骨組みからより華やかに見える16本の骨組みタイプまであり、天然素材を利用した個性のある手元の選択などデザインのバリエーションも豊富。

唯一無二のオリジナルの傘は佇まいがただただ美しく、使うほどに味わいを増し、経年変化を楽しめるアイテム。傘を持つことで得られる満足感こそが本質的なラグジュアリーであると思わせる、圧倒的なパワーを感じさせる。


本文中の( )内、H=高さ、W=幅、D=マチ・奥行きを表します。サイズはcmです。
●情報は、FRaU2021年5月号発売時点のものです。
Photographs:Takehiro Uochi Stylist:Megumi Ikeda Text:Nirai Ikeshiro  Edit:Kaori Shimura , Nirai Ikeshiro , Motoko Saito Logo Design:Tomo Asahina