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コカ・コーラなどの世界的企業が共和党政治家に対抗し始めた理由

「法人民主主義」の登場

いまやデモクラシーを守護するのは政府ではなく企業である。そんなねじれた関係がポスト・トランプのアメリカで始まりつつある。コカ・コーラ社をはじめとした大企業が、共和党の政治家たちの行動に対抗する「コーポレート・アクティビズム」を行使し始めたからだ。

ことの発端は、2021年3月25日にジョージア州で成立した新たな「投票法(Voting Law)」だ。この法改正には、黒人有権者の投票を抑圧するものとして、法案が提案された時点から批判が殺到していた。通常、こうした批判は政党や各種政治団体や運動組織など、普段から政治を専業にする人たちが声をあげるものなのだが、今回はいつもと違う。法案が成立した直後から、経営者や企業が直接、反対の意向を明らかにした。

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ジョージア州で、新たな投票法が成立した直後、ジュージアに本社をおくアメリカ有数の大企業であるコカ・コーラやデルタ航空の経営者が、投票法を批判する声明を発表した。もっともそれだけなら、企業人と政治家の間の、いわばエスタブリッシュメントの間のいざこざに過ぎなかったのかもしれない。

だが、こうした反対に続いてMLB(Major League Baseball)がオールスターゲームのジョージアでの開催を取りやめると表明したあたりから、対立が一般の人たちの耳にも伝わるものとなり、政治争点化していった。MLBの声明によって、コーポレート・アクティビズムにアスリート・アクティビズムも合流することになったからだ。プロスポーツ団体の関与によって、活動の裾野が文化の領域にまで広がった。

こうした動きに対して、今度は、批判された共和党のほうが異議を唱えたことから、政界と財界の関係にも変化が生じてきた。伝統的には、共和党の支持母体といえば企業、対して民主党の支持母体は労組、のような棲み分けがなされていたはずだが、そのような単純な捉え方も通用しなくなった。無条件に企業と共和党の間の蜜月を想定することも難しくなった。

実際、ジョージア州の投票法改正に対する批判に賛同する経営者や実業家、投資家は徐々に増え、4月14日には、ジョージアのみならず同種の投票法改正を行おうとしているアリゾナやテキサス、フロリダなどの共和党優位州に対して、連名で反対を表明するレターがニューヨーク・タイムズとワシントンポストに掲載された。

賛同者には、アマゾン、グーグル、スターバックス、バンク・オブ・アメリカなどの企業、ウォーレン・バフェットやマイケル・ブルームバーグなどの実業家、さらには著名な法律事務所がいくつも名を連ねていた。

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