「SNS=禁止」より「同意する」関係を伝えたい

さらに、今の必須となっているのは、「SNS」についてどう伝えるかだ。

中学高校はもちろん、小学校の先生と話していても、「SNSのトラブルが多くて」とよく聞く。友達関係のもつれから性的なものまで、本当にいろいろ相談の声を聞く。

頻繁にトラブルを見聞きする教員や親にとって、「SNS=悪」というイメージが強いかもしれない。しかし、SNSは子どもたちにとって、すでになくてはならないもの、重要なツールになっている。会ったことないけど友達、会ったことないけど付き合っている、なんて今は当たり前にあることでもある。

私たちはついつい大人の感覚や価値観でSNS=悪、と思ってしまうが、そういうメッセージにならないようにしたい。SNS=悪というメッセージの伝え方になってしまうと、SNSで性的トラブルに巻き込まれても、大人に相談してくれない可能性もある

禁止事項を増やすほど、禁止した大人にトラブルを打ち明けられなくなる危険がある。photo/iStock

今回、文科省が発表した『生命の安全教育』の中学校向け教材には、実際にあった事例が掲載されているが、「SNSで知り合った人と会っていたことを親に知られたら怒られると思い、誰にも相談することができませんでした」というのはよくある話だ。SNSに関することは特に「禁止」という形で注意喚起をしてしまいがちだが、それだけでは解決しないことも多い。

禁止することよりも大事なのは、冒頭でも触れた「性的同意」のコミュニケーションがきちんと取れているか、そういう考え方が自分の中にあるか? ということだ。これは、SNS上のトラブルだけでなく、デートDVなど、性教育の根幹ともいえるカリキュラムだ。

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文科省の『生命の安全教育』でも、小学校高学年向け教材にはイラストとともに、「手をつないでいい?」「部屋に入ってもいいかな?」「写真をとってもいい?」という吹き出しがある。細かなことだが、こういった確認することを積み重ねていくこそが、いい人間関係をつくるための基本だ。どれだけ親しい間柄でも、確認しなければ相手の気持ちはわからない。

昨日、公園で遊んでいた近所の子どもたちが「僕もいーれーてー」「いーいーよー」、「このボール、貸して!」「今使ってる途中だからダメ!」と見事なコミュニケーションを取っていた。相手の気持ちを聞くこと、嫌と言うこと、相手の嫌という気持ちを受け入れることは、恋愛や性に限らず日常のあらゆる場面で練習が必要だと思う。

『生命の安全教育』小学校高学年の教材には、こんな風に説明している。出典/『生命の安全教育』文部科学省