相手の言葉が聞き取れない…「気が散る」のレベルを超えた、注意障害の苦痛

発達障害=「無理ゲー世界」体験記・3
鈴木 大介 プロフィール

だが、それもそのはず、ふと自らの手を見れば、え!? なんとそこにあるのは、今まで握りしめていたはずの単一指向性マイクではなく、全指向性集音マイクじゃねえか!! いつの間に化けやがった貴様!

こうなるともう、最悪だ。

今は目の前の対話相手の声を聞き取らなければならないのに、頭の中には周囲の音が「すべて同じボリューム」で入ってくる。必死に集中して相手にマイクを向けようにも、マイクの仕様が「全指向性集音」だから無駄な努力。

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いやいや、だったら予備の新しい単一指向性マイクを新たにカバンから出して…というのが、いわゆる「居住まい直して気持ちを引き締め、改めて相手に向き合う」というアクション。だがしかし! そうして新たな単一指向性マイクを相手に向けても、それがまた数秒で「ポン!」と全指向集音マイクに化けてしまうのだ。

なんだこの怪現象!? もうこれだけでも悪夢なのだが、されど手ごわき注意障害。このさきにまた、「あいつ」がやってくるのだ。

目の前で担当編集者は大事な話を続けているが、僕が手にするのは全指向性マイクのみ。もうカバンの中に手持ちの単一指向性マイクの予備(=注意機能)はない。だったらこのざわざわの中でうっすら聞こえる相手の声をなんとか聞き取れはしまいか……と額に汗してへっぽこマイクを相手に向け続ける僕。

ところが、この全指向性集音マイクに「遠方にいるおっさんの声」が入ると、これがまた「ポン!」と単一指向性マイクに化けて、オッサンの声だけを拾い始めるのだ!

このタイミングで、また貴様かゴリラグルー! もう、意味が分からない。さっきまで手に持ち続けるだけでも大変だったへっぽこマイクのくせに、今度はやたら高性能にオッサンの声だけを拾い上げて、動かそうとしてもびくともしないしスイッチも切れない、まさにゴリラグルーで完全固定のオッサン専用指向性マイクの完成なのであった……。

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