相手の言葉が聞き取れない…「気が散る」のレベルを超えた、注意障害の苦痛

発達障害=「無理ゲー世界」体験記・3
鈴木 大介 プロフィール

今回の「全部入ってくる」は、そのゴリラグルーに至る中間点と言える症状だが、これまたゴリラグルー現象以上の勘弁してくれ度!

果たしてそれは、どんな状況なのだろうか。まずは定型発達者に、想像してみてほしい。

多くの人が集まるざわめきの中で、特定の相手の声だけを聞き取ることができる=いわゆるカクテルパーティ効果が正しく機能している状態は、向けた方向の音だけを拾う「単一指向性マイク」を対話相手に差し出している状態にたとえられると思う。ざわめきの中で対話相手の声のみを「ボリュームアップ」して聞けているような状態になっているわけだ。定型発達者には、この単一指向性マイクが標準装備されている。

ところがどっこい!!

いざ僕自身が注意障害持ちになってみて経験したのは、この単一指向性マイクが、会話の途中でいつの間にか「全指向性集音マイク=360度周囲すべての音を集音するマイク」に化けてしまうという、怪現象なのだった。

それは、こんな感じである……。

場所はカフェ、対する相手は新たな出版社の担当編集者、話の内容はずっと出したかった書籍企画について。こんなシーン、僕としては相手の言葉を一言たりとも聞き漏らしてはならないから、相手の声だけをボリュームアップできる単一指向性マイクを握りしめ、相手に向けている状態。定型脳だった時には、それが難なくできた。

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ところが困った。当事者脳になった僕にとっては、なんかそのマイク、めちゃ重いし、形状が悪くて固定するのも難しいし、ちょっと相手から方向がズレるだけで別の音がガンガン入ってきてしまうのだ。

もう正しい角度で持っているだけでも精一杯、なんなんだこのへっぽこマイクは!

けれど、マイクを持ちづらい程度なら、まだいい。

最悪なのは、そんなにも頑張ってるにもかかわらず、どんどんマイクに対話相手の言葉以外の無駄な音が入ってくるようになってしまうこと。あれ、こっちは必死にマイクを相手に向けているはずなのに、どんどん雑音が入ってきて、相手の声はボリュームダウン。これじゃ聞き取れんぞ? なんだこれは?

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