西浦博 教授が緊急報告、「第4波」が“これまでと違う”と言わざるを得ない「4つ」の理由

西浦 博 プロフィール

(3)「まん延防止」は“スローダウン”に使える

「まん延防止等重点措置」について正しい理解をしておくことも必要です。この措置が英国株に対して「効かない」と言うのには語弊があります。再生産数はちゃんと対策で下げることができますが、「不十分なので1未満に下げ切れない」というのが実態です。

私たちの研究グループで推定しても、措置前に大阪で1.8くらいだった再生産数が措置によって1.3程度までは下がっていることが見て取れました。部活動や週末の外出自粛などの追加措置の後は1近くまでじわじわと下がっているようです*8

つまり、重点措置は全く無駄なのではなく、措置の内容をよりよいものに常にアップデートしながら、とにかく早期に対策を浸透させることによって感染者の増加をスローダウンさせることには使えると考えられます。どうしようもないくらいに感染者数が増える前に、その増加をストップして低いレベルで感染者数を留めておくというイメージです。

感染性が上がったと言っても、1.5が2.25に上がる程度ですし、伝播の場として、従来と似た屋内環境の濃厚接触で起こりやすいことも一緒です。何ともならないわけではありません。

ただし、その措置を可能な限り、「遅滞なく講じないといけない」ことがスローダウンのために必要になります。そうしないと、長い間ずっと感染者数の発生が多いまま高止まりしてしまうこともあるからです。

この後、さらに分析を追加して、感染者数を減らすことができるような急所を見つけられるのか。人口全体に対策の影響が及びすぎないよう、伝播の起こりやすい場を以前のように選択的に見つけて措置を講じていけるのか。その保証はありませんが、感染者数を一旦減らして、しっかり観察・分析をしていかなければなりません。

また、スローダウンさせるための協力は従来よりも遡及効果の高いものが求められますが、為政者が今の状態から“脱皮”して、「票」ではなく、真に国民のことを思って責任を取れるのか、真価が問われます。

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そう考えると、当面は緊急事態宣言の措置で実効性の高いものを見定め、措置のオンとオフを繰り返すことになるものだと思います。五輪イベントなどを前に短期的にオフにしようとしている場合ではないのです。

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