西浦博 教授が緊急報告、「第4波」が“これまでと違う”と言わざるを得ない「4つ」の理由

西浦 博 プロフィール

(1)対策の遅れが“もたらすもの”

英国はもちろんのこと、日本でも英国株が従来株の1.3~1.5倍程度の感染性を有することが分かっています*1

夏場に起こった従来株による第2波は夜間繁華街を中心に流行が起こっていたので、東京では一部の飲食店に対して営業時間の短縮の要請が行われ、また大阪でも一部限定的な休業要請も行われたりするなどしましたが、緊急事態宣言は発出されませんでした*2

また、第3波では緊急事態宣言の対象地域でのイベントの開催は最大でも5000人以下に制限され、テレワーク、交通機関の減便などもありましたが、主には飲食店の営業時間短縮を中心とした措置と緊急事態宣言に伴う移動自粛などの呼び掛けを通じて、感染者数を減少に向かわせることができていました。

しかし今回、大阪でのまん延防止等重点措置によって大阪市の飲食店で営業時間の短縮が行われ、市内の繁華街の夜間滞留人口が劇的に下がったものの、流行が下火に至るほどまでには再生産数(感染者1人あたりが生み出す二次感染者の数)を下げられませんでした。

学校の部活動自粛や週末の外出自粛なども呼び掛けられましたが、その中でも再生産数は概ね、流行が下火へ向かう目安の「1」をほんの少し超える水準まで下げられる程度に留まりました*3

どうして、より強い対策を伴う緊急事態宣言を発出できる判断の機会が何度もある中で、重点措置の効果を長く待ったのかは、流行が終わってから総括しましょう。ここで他の地域を含めて理解すべきは、従来株から英国株への置き換わりが進んでいる状況下では「感染性が上昇していて、従来の対策では下げ切れない蓋然性が高い」ということです。

 

フランスでも同様の研究が報告されています。フランスでは「門限の設定」を流行対策にしており、2月まではそれによって入院者数の度合いを一定に保てましたが、3月に英国株に置き換わってからは感染性が高くて門限設定という対策だけでは効かずに他の措置が必要になりました*4

これは流行対策を構築する上では極めて良くないニュースです。飛沫が飛びやすい食事や飲酒の機会は未だ感染が起こりやすい場なのでしょうが、職場や施設、家庭内などでも伝播しやすい機会があり、対策の対象範囲を広げる必要があることを示唆しているからです。

さらに、リアクションが遅い日本の政治・行政にとっても良くない事態です。感染性が高いと感染者数が増える指数関数的な増殖スピードも速くなります。これまで、この感染症の流行対策では社会・経済的インパクトに気を払う必要性が高いため、判断に時間を要することがほとんどでした。

大阪の第4波の重点措置が典型例ですし、一部の自治体で大型連休前に重点措置や緊急事態宣言を見送ったところもあります。気づいたときには相当に増えている状態が起こり得ます。今後、対策の遅れが少しでもあると一気に患者が増えてしまう可能性が危惧されるのです。

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