マンガ/柘植 文 文/FRaU編集部

「幸せ」は、恋愛や結婚で決まるのか?

アラサーである筆者の周囲ではここ最近、このコロナ禍で絆が深まったのか、人生何度目かの「結婚ラッシュ」が起こっている。インスタグラムを開けばどこもかしこも、婚姻届の写真と「入籍しました」の文字……! おめでたい気持ちが湧き上がると同時に、「ホント、結婚って奇跡だよね……」と溜息が漏れてしまう自分がいる。

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まず、両思いになれないと誰かと付き合うことなんてできないし、付き合っても価値観が合わないと長続きしない。ぶつかることがあっても話し合って理解し合えないといずれ関係は破綻してしまうだろうし、そもそも人をあまり好きにならないから(これは筆者だけ?)、いろいろ考えた挙句、結局「結婚=無理ゲー」では?と思ってしまう。

最近は不倫もよくニュースで見かけるし、DVやモラハラなんかも聞くし、結婚したからと言って幸せになれるとは限らないよね……な〜んて先回りして色々考えすぎなのはよく理解している。何も行動しちゃいないのに、すでにかなりのマイナス思考をこじらせている。困った。

そんな中、柘植文さんが描いた漫画『幸子、生きてます』を読んで、まず驚いた。

幸子、生きてます(1) (ワイドKC)

主人公の幸子(33歳・独身・役所勤務)は、いかなる場でも婚活中アピールを欠かすことなく行ない、結婚相談所やお見合いパーティに足繁く参加するも、なかなかいい出会いを掴めずにいる。結婚したいと願いつつも、変な男に捕まってしまい、欠陥マンションを買わされるなど、結構散々な目にあっている(おぉ……)。

普通の場合、こんな目にあったらかなり落ち込んで、「もう恋なんてしない!」とか人間不信に陥りそうなものだが、幸子の場合は違う。

『幸子、生きてます(1)』より

欠陥マンションの床の傾きを利用してお団子を丸めたり(!?)、「欠陥ありとはいえマンションという資産を持っている」ことをアピールしたり、こんな出来事の後だから「傷心で落としやすく狙い目である」ことを周囲に伝えようとしたりと、とにかく発想のポジティブ転換が凄まじい……! 嫌な出来事をもむしろ武器にして新たな行動を生み出すこの能力、最強である(ちゃんと武器になっているかどうかはまた別の話)。

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「以前描いてた『野田ともうします。』が恋愛要素があんまりなかったので、恋愛漫画を描こうと思いました」と、本作品の制作に至ったきっかけを教えてくれた、漫画家の柘植 文さん。幸子のキャラクターやエピソードなどどれもシュールで、「そう来たか…!」と想像を超える展開に驚いたり、クスッと笑えたりするものが多いが、これらは柘植さんご自身の生活の中でふと思ったことから広げて描いているそう。

「恋愛に熱い主人公にしようと考え始めたんですが、やっぱり私の性質が出てしまうのかなんか違う感じになってしまいました」

確かにいわゆる普通とは少し違う視点を持っている幸子。個性的だけど、むしろ、この性格がいい……! 他人と自分を比べて、マイナス思考になっていたけれど、幸子の暮らしを見ていたらなんだか楽しそうだな、と思えるようになってきた。