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いまや起業家たちがこぞって心酔する「ラクスル」、これが成功までの試行錯誤

事業が成長する戦略ストーリー
コロナ禍で社会が変わり、新規事業がたくさん生まれている。スタートアップにチャンスが巡ってきただけでなく、本業消滅の危機に直面した大企業は新規事業へのシフトに必死だ。しかし、それらを成功させるのは今も昔も容易ではない。新規事業を成功させるのに本当に大事なことは何なのか。最もくわしいのは連続起業家(シリアル・アントレプレナー)と呼ばれる実業家たちだ。中でも守屋実氏は30年間で52もの新規事業立ち上げにかかわり、成功も失敗も数多く経験してきた。それらリアル過ぎる経験を盛り込んだ新刊『起業は意志が10割』から「起業に大事な9つのポイント」を9回にわたってお届けしたい。新規事業に限らず、これらはプロダクトをヒットさせるヒントでもあり、チームリーダーやPMをサポートする人にとっての心得でもある。

9つのポイント4 コト=勝ち筋の確立

「起業に大事な9つのポイント」の4つ目は「勝ち筋の確立」だ。コト(事業の構想)を考える時、もっとも大事なことは、この「勝ち筋の確立」である。事業開発のプロセスは、勝ち筋を作り上げるプロセスだといっていい。

では、「勝ち筋」とは何か。僕が使っている勝ち筋という言葉の意味は、その事業が成長、成功するための戦略ストーリーだ。因数分解すると以下のようになる。

勝ち筋の因数分解
勝ち筋=勝利の物語+勝利の方程式
勝利の物語=その事業の成長、成功の肝となる部分を、文章で表したもの
勝利の方程式=その事業の成長、成功の肝となる部分を、数式で表したもの

たとえば、初期の頃のラクスルは「勝利の物語」を次のように描いていた。

 

・印刷ECのメリットである「安さ」を伝えるために「ワンコイン名刺」と銘打ち、100枚わずか500円という、当時としては破格の価格を看板とした。スーパーのチラシでいう特売の卵(客寄せ商品)の役割を持たせた。

・そのまま「名刺だけ」の注文が繰り返されてしまうと商売的にはかなり苦しいが、注文の幅が「チラシ」にまで広がると、事業としての成立が見え始める。

・このチラシの注文のうち、「大量」の注文をしたお客様は、刷ったチラシを「配る」ということに、きっと苦労をしているはずだ。

・だとしたら、印刷会社を束ねるビジネスモデルのラクスルが、新聞折込会社やポスティング会社などの「配る会社」も束ねれば、「刷って配る」という顧客の一区切りに合わせた価値提供を実現することになる。

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