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「顧客視点が大事」と言う人ほど自社の都合を客に押し付ける

そのビジネスは売り上げ補填のためでは?
コロナ禍で社会が変わり、新規事業がたくさん生まれている。スタートアップにチャンスが巡ってきただけでなく、本業消滅の危機に直面した大企業は新規事業へのシフトに必死だ。しかし、それらを成功させるのは今も昔も容易ではない。新規事業を成功させるのに本当に大事なことは何なのか。最もくわしいのは連続起業家(シリアル・アントレプレナー)と呼ばれる実業家たちだ。中でも守屋実氏は30年間で52もの新規事業立ち上げにかかわり、成功も失敗も数多く経験してきた。それらリアル過ぎる経験を盛り込んだ新刊『起業は意志が10割』から「起業に大事な9つのポイント」を9回にわたってお届けしたい。新規事業に限らず、これらはプロダクトをヒットさせるヒントでもあり、チームリーダーやPMをサポートする人にとっての心得でもある。

9つのポイント2 顧客から考える

「起業に大事な9つのポイント」で2つ目に挙げたいポイントは、「顧客から考える」だ。

あなた自身が「(事業を)やる!」と決めた時に、どのような事業をするのか、なぜやるのか、何を善とし、何を悪とするのか。この時のもっとも重要な決め手となるのが、「顧客視点」だ。つまりは、顧客の立場に立って、顧客の問題を見るということである。

これは、当たり前のことで、世の中でも言い尽くされている。だから、今さら「顧客視点なしにビジネスを考える人なんていないだろう」と思うかもしれない。しかしながら、最初の動機は顧客視点だったのに、いつの間にか自社都合にすり替わっていることはよくあることだ。現実的な問題やさまざまな制約条件での事業展開となるため、いつの間にか顧客視点がこぼれ落ちる。

特に、大企業の新規事業のビジネスモデルを見ると、顧客視点が皆無の事業計画となっていることが多々ある。多様な決裁者を経る中で、いつの間にか自社都合だけが残ったビジネスになってしまうのだ。

このような致命的な欠陥ビジネスを避けて通るために、あえて造った言葉がある。それは、「マーケットアウト」である。

通常、マーケティングで学ぶのは、「プロダクトアウト→マーケットイン」であろう。モノ不足の時代では、とにかく作ることが価値だった。だから大量に、安く、早く、良い商品を作っていった。つまり、プロダクトアウトが主流だったのだ。

その後、社会にモノが充足していくと、より顧客に近づいて物事を考える必要が出てきたことからマーケットインの考え方が重要となった。多くのマーケティング論はここで終わる。

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