菅政権が「邪魔」ばかりするから「トヨタが日本を捨てる日」がやってくる…って本当か?

大原 浩 プロフィール

オバマ政権はGMを保護した

2018年12月7日の「日産ゴーン事件があぶり出した『世界自動車戦争』の意外な行方」1ページ目の「必死なのは日本やフランスだけではない」で、米国政府が「ビッグ3」を保護してきた歴史について述べた。

特に、リーマンショック後の2009年にオバマ政権が、米連邦破産法11条を申請したGMを実質国有化した(2013年に国有化を解消している)ことに注目したい。GMはビッグスリーの中でも特に大きなプレゼンスを持ってきた「星条旗自動車メーカー」であるが、自由主義経済を標榜する米国でも、自国の基幹産業は保護するのである。

しかも、そのGM破綻と歩調を合わせるようにトヨタバッシング(2009~10年の大規模リコール問題)が起こった。このトヨタバッシングがオバマ政権の指示であるのかどうかははっきりとしないが、「GM救済のための助け舟」と言われても仕方がない絶妙のタイミングである。

しかも、指摘された欠陥の「確実な証拠」は見つからず、証拠として提示された再現実験の映像が実は捏造であったということも発覚した。

前記「日産ゴーン事件があぶり出した『世界自動車戦争』の意外な行方」の2ページ目「負けて勝ったトヨタ、主張して負けたタカタ」の、就任直後であった豊田章男社長の優れた対応で、米国の消費者の信頼を勝ち得たことは不幸中の幸いだ。

逆に、オバマ政権のサポートを得て復活したGMは、2014年に大規模リコール問題(実際に欠陥があった)を引き起こした。しかも、会社側が不具合により死者が伴う事故が発生していたことを認識していたにもかかわらず、対策が長年放置されていたことから、リコール隠しの疑いが濃厚だ。

トヨタ自動車は、GMなどと違って稚拙な日本政府の支援など無くても優良企業でいられる。しかし、海外では、多数の国策会社と「ハンディキャップを背負って」戦わざるを得ない。

 

そのような状況なのに、日本でもEV化という愚策が急速に推し進められている。「週刊現代」4月25日の「『脱炭素』と『EVシフト』で崖っぷち…社長が口走った『トヨタが日本から出て行く日』」で描かれているような、豊田章男社長の気持ちは非常によく理解できる。

冷静に考えてみて、日本が世界のナンバーワンの地位を占めることができる産業がどれほどあるだろうか?片手の指の本数以上に思いついたとしたらたいしたものである。

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