気づいていますか? 現在の格差が「世界恐慌なみ」だということに

【特別鼎談】宮台真司×白井聡×斎藤幸平
宮台 真司, 白井 聡, 斎藤 幸平 プロフィール

大事な仕事ほど報われない

斎藤 加えて、この一年でコロナ禍が数々の矛盾を露呈させました。日本では非正規雇用者が簡単にクビを切られたり、コロナにかかった生活保護者が病院での診察を断られたり、女性の自殺が急増したりしていますが、それはもともと存在した格差と差別が噴出したものです。

さいとう・こうへい/'87年東京都生まれ。大阪市立大学准教授。『人新世の「資本論」』で新書大賞2021を受賞。『大洪水の前に』『未来への大分岐』(共著)。

白井 今の日本人、特に若い世代には「正規・非正規の格差は当たり前」とか「生活保護を受けている人は努力が足りない」と素朴に考えている人も少なくありません。そうした人たちも、コロナで流石に「これはおかしい」と気付いたかどうか。

 

もうひとつ、コロナと格差の関係で注目されたのが「ブルシット・ジョブ」、日本語に訳すと「クソどうでもいい仕事」という概念です。以前は毎日会社に出勤して、資料作成や社内調整と山のように仕事があったけれど、コロナでテレワークになってみると、そういう仕事が消えても何の問題もない。高給取りのサラリーマンや会社役員も、実はみんなその程度の仕事しかしていないことがわかってしまった。

一方で、鉄道や医療、介護に保育など社会のインフラを支える仕事に従事する人たちは、テレワークもできず感染リスクを避けられないのに、給料が高いわけでもない。一番重要な仕事をしている人たちが真っ先に困窮するなんて、この世の中は一体何なんだ、と思った人も多いはずです。

しらい・さとし/'77年東京都生まれ。京都精華大学専任講師。『永続敗戦論』で石橋湛山賞などを受賞。新刊『主権者のいない国』が反響を呼んでいる。

宮台 なのに、そうした矛盾が露になっても、たいていの人は無視を決め込みます。それどころか「自粛警察」のように、他人を攻撃する人も大勢います。こうした感情が劣化した輩を私は「クズ」と呼びますが、彼らの劣化の理由を一言で言えば、「貧乏人」が連帯できなくなったことです。

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