株価「爆上がり」の日本電産と「伸び悩む」パナソニックの間にある「明確な差」

IR資料を分析して気づいたこと
三ツ谷 誠 プロフィール

グループを束ねる「言葉」

そうしたコンセンサスがあれば、もっとメリハリの利いたプレゼンが可能になるだろうからだ。少なくとも、セグメント開示に沿って、全てのセグメントについて総花的に状況や戦略を説明するという、典型的な日本企業の投資家向け説明会の構成から自由になれるからだ。

また、それこそが、公開企業が資本市場参加者と企業価値を共創する、という過程にほかならないからだ。

ところで、冒頭に紹介したように、実は、コングロマリット化した組織を束ね、投資家に自社を訴求する方法が存在する。

そのケースこそが、ソニーグループのケースとなる。


拡大画像表示図5/出所:ソニーグループHP 2020年5月19日経営方針説明会資料より
 

図5は、2020年5月19日に行われた当時はソニー株式会社の経営方針説明会資料からの抜粋スライドになる。その説明会資料の最初のスライドには「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というソニーグループのパーパス(企業の社会的存在意義)が、明確に示されている。

ソニーは言うまでもなく我が国を代表する電機メーカーで、その点はパナソニックと同じ位置づけになる。ただ、ソニーもパナソニックとはまた別の意味で、その輝かしい歴史の中で、事業が枝分かれして多岐に亘り、コングロマリット化していったという同様の過程があった。

特にソニーは、子会社に金融会社や果敢なM&Aでグループに加えた映画会社などエンタテイメント事業も抱えていて、寧ろ原点であるモノ作り企業として再度原点を見直すべきだ、という議論もソニーを良く知るジャーナリストなどからも挙がっていた事は、良く知られた話だろう。

そうした中、平井一夫前社長から吉田憲一郎社長へと引き継がれた経営の方向性は、彼らの言う「原点への回帰」という方向ではなく、寧ろ現在のソニーの事業を、より高い次元で統合し、グループを束ねる「言葉」を探し出し、その「言葉」のもとで、それぞれの事業が結び付くように企業活動の位相を変える、というものだったと筆者は感じている。

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