株価「爆上がり」の日本電産と「伸び悩む」パナソニックの間にある「明確な差」

IR資料を分析して気づいたこと
三ツ谷 誠 プロフィール

総花的な表現が選ばれがち

その意味で、日本電産の個人投資家向け説明会資料には、投資家の投資意欲を刺激する要素が満ち満ちている。また、とりあえず当面は電気自動車の成長を主にモーターの領域から、自社の成長ドライバーにしていくというメッセージも明確だ。

同じようにパナソニックも、やはりバッテリーの側面から電気自動車の成長や脱炭素の流れを受けた成長が期待されているだろうが、そこにだけ焦点を絞った強い訴求は見られはしない。

もちろん対象が違うと言えばそれはその通りだ。パナソニックの説明会は、長く業界をフォローし、パナソニックをフォローしていた、ある意味で内輪を対象に、しかも表現も個人向けに比べれば専門的な表現が使われているだろう。

 

しかし、投資家に対するにはあくまでも受託者(投資された資金の運用者)がその受託者としての義務や責任を委託者(資金の出し手)である投資家に説明し、その責任を果たす、という態度ではなく、より踏み込んで、投資それ自体を誘うという動機がなければ、残念ながらその株は買われないのではないか、と思う。

とは言え、なかなか巨大な規模の売上高を誇り、かつ歴史や伝統も持つ巨大企業においては、明快な成長戦略を語るというのは難しい作業になる。特に、パナソニックもそうだが、歴史の中でコングロマリット化した企業においては、その課題は切実なものだろう。

また、投資家に向けられた説明資料はブーメランのように自社の社内に戻ってくる性格も持つので、社内のハレーションを最小化するために、メリハリのない総花的な表現や構成が選ばれてしまう傾向があるのも、やむえない事だろう。

だが、IRの領域で長く仕事をしてきた経験からは、だからこそ、今この時点では自社の何を強調し、何を語るべきかを、経営者や関係者がディスカッションして共有する過程を重視すべきだと感じる。

関連記事

Pick Up

編集部からのお知らせ!

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/