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株価「爆上がり」の日本電産と「伸び悩む」パナソニックの間にある「明確な差」

IR資料を分析して気づいたこと

「何を買わせるのか」という視点の欠如

4月3日付けの記事〈「年率6.5%」の超高利回り株なのに、JTの株価が下がり続けるワケ〉で筆者は、JT株の低迷の背景について触れた。だが、ほかにも10年スパンで株価の低迷に悩んでいる大企業は多い。

いや、逆にそうでない企業が少ないというのが、実際だ。例えば三菱重工業、ENEOS、パナソニック、など思いつく企業の株価を10年スパンで追いかけてみよう。

6752パナソニック(青)、5020ENEOS(緑)、7011三菱重工業(黄)
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図1/出所:Yahooファイナンス2021年4月25日より

 

図1は、2011年の5月を起点として、その後の株価推移を示した比較グラフとなる。これを見れば、日本を代表するこれら企業の株価が同時期の日経平均に対しいかに下回って推移しているのか、が分かるだろう。

昨年から続く新型コロナ感染症が明らかにしたことは、我が国が残念ながら先進国の地位を滑り落ちつつあるという現実だが、これら日本を代表する企業群の株価の低迷は、また別の角度から我が国の現実の厳しさを伝えるものだろう。

株価は究極的にはファンダメンタルズ・企業業績を反映する指標であり、分析や考察を重ねることで経営の迷走や問題点などの本質的な問題に到達することができる。

一方で、IR活動の視点から企業の本質的価値を論評することも可能だ。本稿では、長年企業のIR活動を支援し、眺めてきたキャリアから、これら企業のIR活動上の問題点を指摘してみたい。特に、パナソニックを俎上にあげることで、これら企業に共通する課題について考えよう。

さっそく結論を言えば、なかなか株価が上昇しない企業の課題とは、これら企業のIR資料やホームページのIRサイトには「何を現在、投資家に買わせようとしているのか」という株を売る、投資を募るという視点での訴求が欠けている、練り上げられていない、ということに尽きる。

もちろん、これら企業はさすがに、開示項目を外すことはなく、フェアディスクロージャーや、SDGs/ESG対応の構えも、しっかりしている。しかし、そこには「大丈夫です、何でも聞いてください、受託者責任(投資家の資金を預かり運用する者としての開示責任)はしっかりと果たしますよ」という受動的な姿勢はあっても、もう一歩踏み込んだ「当社に投資してください、一緒の船に乗ってあなたも大航海に出ましょう」という情熱は感じられない。

そのような情熱を開示資料や展開するIR活動から感じる代表的な企業として、日本電産をあげてみたい。また、後段ではパナソニックと言えばソニー、長年比較されてきたソニーグループのパーパス(企業の社会的存在着)の公表が何をもたらしたか、について考えてみたい。

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