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日本政府は理解していない…「国軍に忖度しないとミャンマーが中国寄りになる」は本当か

新型コロナをめぐって日本の政治機構の諸問題が露呈しているが、同じような問題が外交においても露呈しているように思える。定められた規定路線の中で調整を繰り返していけばいいだけであれば、官僚機構が作業を積み上げていけばいいのだろう。

しかし、新しい危機への対応が迫られると、長期的・大局的な視野に立った判断をする司令塔がないので、関係者が思考停止と言わざるをえないような状況に陥る。

たとえば、ミャンマー危機への対応である。4月9日に、駐ミャンマーの15大使が共同声明でミャンマー軍を非難した際、日本は加わらなかった。アメリカの同盟国は、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどを含めて、ほぼ全て名を連ねた。アメリカの同盟国網の中で、日本の立ち位置は、エルドアン大統領のトルコやドゥテルテ大統領のフィリピンと同じレベルということになった。

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日本の外交当局は、「日本はミャンマーに独自のパイプがある」、「北風がいいのか太陽がいいのかはわからない」といった意味不明な言葉を羅列する。しかし、政策的ビジョンは打ち出さない。決め文句は「ミャンマー軍に忖度しないと、ミャンマーがいっそう中国寄りになる」だが、これもフワっとした感覚的なレベルでのみ語られていると言わざるを得ない。

日本は、2013年にミャンマーに対する約2,000億円の円借款の債権の放棄を行い、さらに約2,000億円を新規の追加融資で返還の体裁をとらせる措置をとった。それにもかかわらず、その後も毎年数千億円規模の円借款を投入している。今の政治情勢では、さらなる焦げ付きは必至だと言わざるを得ない。

ミン・アウン・フライン国軍司令官は、「われわれはただ借金の踏み倒しなど痛くもかゆくもない、むしろODAを止めたら一番損をするのは大型案件を契約している日本の企業だぞ!」と、むしろ日本に脅しをかけているような状態だと言ってよい(参照「日本政府が『ミャンマー軍の市民虐殺』に沈黙を続ける根本的理由」)。

残念ながらジャーナリストの北角裕樹氏は人質にとられているような構図になってしまった。事実上の日本のミャンマー軍への忖度外交の流れの中で、日本政府は強く出ることも、打開策を提示することもできない状態に陥っている。

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