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「内閣府こども庁」創設の大問題…結局、文科省と厚労省の「海外領土」が増える

縦割り行政は解消されない
大原 みはる プロフィール

縦割り行政の解消にはならない

もっとも、組織再編の際に、自省の既設部局が他府省に再編・移管されたとしても、そこが従前の組織・人員と同程度の規模で、その構成員が自省からの固定出向ポストとして残れば、「植民地」あるいは「海外領土」を確保できたわけだから、短期的にはそこまで大きな問題は生じない。

実際、中央省庁等再編後、多省庁間の総合調整が必要な案件が増え、各種の政策決定における政治主導が進んだことなどを理由に、一般省庁と比べて「組織上」総理官邸に近い立場にある内閣官房や内閣府が、他省が行っていた業務を引き取ってきたため、両組織の業務は年々肥大化する傾向にある。

 

このうち、内閣官房はもともと他省庁からの出向者が多くを占めており、また内閣府は旧総理府の時代から独自で職員採用しているものの、他省庁から移ってきた多種多様な業務を捌けるほどの人材は、質・量ともにそろっておらず、やはり他省庁からの出向者に頼っているのが現実だ。

例えば、中央省庁等再編期に原子力関係の業務が旧科技庁から内閣府に移ったことがあるが、旧来の「原子力ムラ」である旧科技庁や経産省の出向者を受け入れて業務をこなしていた(現在は内閣府から環境省の外局たる原子力規制委員会へ移管)。

このように、内閣官房や内閣府の組織や業務範囲は、各時代の政治的な判断により大きく変化する。ある業務を開始したからといって、内閣府が職員採用を増やしていきなり即戦力の人材を集めて業務ができるわけでもなく、当面の間は他省庁からの出向者頼みにならざるを得ない。

いや、先ほどの原子力行政のように、その業務を内閣府がずっと担当するかどうかも、社会環境と政治判断で変わりうるものである。ならば、旧総理府に由来を持つ内閣府の固有業務以外については、もともと関係の深かった省庁からの出向者の供給を受け続けるという人事管理の方針があってもおかしくないだろう。

そう考えると、今回、仮に「こども庁」を内閣府に設置したとしても、少なくとも当面の間は文科省や厚労省の役人が乗り込んできて「内閣府のこども庁」で仕事をするだけの結果になりそうである。

寄り合い所帯の彼らが、出身省庁の顔色を気にして、縄張り争いをしながら仕事をするならば、縦割り行政の解消には決してならない。

そこで、そうしたことの解消策として、出向元への「出戻り禁止」や「省庁別人事管理の廃止」などがたびたび語られる。機会があれば、近いうちにそうした意見の現実味についても提言してみたい。

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