# 社会

「内閣府こども庁」創設の大問題…結局、文科省と厚労省の「海外領土」が増える

縦割り行政は解消されない
大原 みはる プロフィール

省の「領土問題」になってくる

こうした現状を、「たすき掛け人事」にこだわっていたら会社がつぶれるくらいの危機感の下で行われる民間企業のドラスティックな企業再編と比較すれば、役所の組織再編なんて、それこそ「二人の大臣が一人になった」程度の効果しかない(あるいは、旧自治省と旧郵政省を統合した意味はゼロだった)と看破されても仕方がないのではないだろうか。

結局、国の役人というのは、普段何らかの仕事に取り組む際、わが国をよくするために何をどうすべきかということももちろん考えているが、同時に、自分の出身官庁の事業・予算・組織・関係業界の規模(比喩的に言えば、今持っている「領土の範囲」)を如何に狭めないか(あわよくば広げるか)という視点も、必ず頭をよぎるものである。

 

現在まで、上記のような省庁別人事管理の仕組みをとってきた以上、彼らがそのような習性を持ってしまうのは、ある意味仕方のないことであり、程度の差はあれ、この発想ができないと、出身官庁の中では出来損ない扱いされ、疎まれるだけなのだ。

もちろん、すべての官僚がそうだというわけではない。近年、霞が関から転出した「元・改革派官僚」を名乗る人たちがメディアで積極的に発言しているが、彼らは、そういう葛藤や板挟みに悩み、抗い、疎まれ、結果的に役所を飛び出した人たちなのではないだろうか。

ここで、話を冒頭の「こども庁」設置問題に戻そう。本件は結局のところ、文科省、厚労省、内閣府が「こども庁」をどれだけ自省庁の影響下に置き、業務・予算・組織(人員)という「領土」を維持(あわよくば拡張)できるかに向けて水面下で争っている状態だと考えればわかりやすい。

日本はもはや高度経済成長や人口増加の時代ではなく、政策的な必要があって組織規模が拡大する行政分野や部署はごく一部にすぎない。むしろ国家財政の悪化もあって、国の役所は常々、組織の効率化、スリム化を迫られている。

それゆえ、どの役所も一度、業務・予算・組織(人員)を手放してしまったら、取り戻すのは容易ではない。だから、どの省庁も、綱引き合戦あるいは陣取り合戦に躍起になるのである。

関連記事

おすすめの記事