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「内閣府こども庁」創設の大問題…結局、文科省と厚労省の「海外領土」が増える

縦割り行政は解消されない
大原 みはる プロフィール

「省益」重視で仕事する独特の風土

ところが、行政組織の再編となるとそう明快にはいかない。社会的な課題解決を目指し、どういう組織で何をやらせるのが最適かという「建前」は、あくまで表面上の理屈に過ぎず、実際には、各種の既得権にまみれた利害関係者の「本音」によって綱引きが行われる。

ある判断が、唯一絶対の、本当にベストなものであるかは誰にも分からない。そういう前提で、最終的には政治が決めることになる。

縦割り行政の弊害は、今回の「こども庁」設立に向けた動きに限らず、これまでも様々な分野で指摘されてきた話だが、そもそもなぜこうした問題が起きるのかと言えば、これまで各官庁が、関連の深い複数の分野の業務を束ねた一つのまとまりとして組織され(例えば、各種の福祉なら旧厚生省が束ねてきた)、活動してきた結果ともいえる。

 

ご存じの方も多いと思うが、各省庁の職員は、同じ国家公務員という身分を持ってはいるが、それぞれの省庁は「別個の会社」である。職員採用・人事異動(人材育成)は省庁ごとに行われる。

そして、ジェネラリストとして育成される幹部候補生(キャリア組)は、原則として自省庁の中(複数の局、地方出先機関など)でジョブローテーションし、さまざまな業務を経験しながら昇進していくキャリアパスを歩むようになっている。

その結果、省庁ごとに、社風ならぬ「省風」が生まれ、個々の職員は、天下りまで含めた自身のキャリアパスを考えて、国益よりも「省益」重視で仕事をするようになった(省によっては「局益」もある)と言われる。

そんな中、20年前の中央省庁等再編で、いくつかの合併官庁が出現し、人事面での地殻変動が起きると期待する声もあったが、統合後の省庁としての一括採用に切り替えた役所は限られていた。

例えば、先般、接待問題でにわかに脚光を浴びた総務省などは、いまだに旧省庁単位での採用、人事配置を続けている。霞が関と地方自治体の往復を繰り返す旧自治省と、旧総務庁や旧郵政省では職員のキャリアパスが異なるのだから、完全にまぜこぜにすることなどそもそも無理で、最初からその気もなかったのかもしれないが。

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