温暖化対策、米中は「やってるフリ」だけ…各国が足並みを揃えたくない裏事情

「幻想の危機」でもいいじゃないか
長谷川 幸洋 プロフィール

「46%削減」という新たな目標

菅義偉政権が打ち出した温室効果ガスの新たな削減目標を受けて、経済界がさっそく動き出した。だが、そもそも「地球温暖化」という話は、どこまで本当なのか。普通の人には、検証不可能だ。ただ、それを前提に動いている世界の現実は、受け入れてもそう悪くはない。

菅首相は4月22日、オンラインで開かれた「気候変動サミット」で温室効果ガスの削減目標を「2030年度に13年度比で46%削減する」と表明した。従来目標の26%減から大幅な引き上げだ。19年度までに14%減を達成したので、あと10年で残りの32%を減らす必要がある。

菅義偉首相[Photo by gettyimages]
 

なぜ、従来目標を引き上げたかと言えば、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が5〜7年ごとに公表する報告書を基に、各国がそれぞれの国内事情や技術革新などを考慮して、自主的、段階的に削減目標を引き上げていく仕組みになっているからだ。

IPCCが2013年に発表した最新の第5次報告書は、地球温暖化に人間活動が及ぼす影響について「可能性が極めて高い」(確率95%以上)という評価を下した(https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf)。

これまではどうだったかと言えば、1990年発表の第1次報告書は、地球温暖化に人間活動が及ぼす影響について「気温上昇を生じさせるだろう」という、あいまいな言い方だった。95年の第2次報告書は「影響が全地球の気候に表れている」。2001年の第3次報告書は「可能性が高い」(確率66%以上)。07年の第4次報告書は「可能性が非常に高い」(同90%以上)となっていた。

これでお分かりのように、ICPPも人間活動が温暖化に及ぼす影響について、最初は「半信半疑」だったのだ。それが、研究が進むにつれて、徐々に確信を強めていき、2013年の報告書では、ついに「可能性が極めて高い」と断言するに至った。

これとは別に、IPCCは2018年に「1.5℃特別報告書」も発表している。そこでは、産業革命以前の基準とされる1850〜1900年の平均気温(13.7℃)に比べて「温暖化を1.5℃までに抑制しよう」という目標を掲げた(https://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/ar6_sr1.5_overview_presentation.pdf)。

特別報告書は「現在の進行速度では、温暖化が2030〜2050年に1.5℃に達する」として「1.5℃への抑制は不可能ではないが、社会のあらゆる側面で前例のない移行が必要」「抑制は持続可能な開発の達成や貧困の撲滅に役立つ」などと強調した。

 
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら
編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/