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ドイツ「ポスト・メルケル」は緑の党のこの女性になるかもしれない

時代の空気は、間違いなく味方している

緑の党が立てた首相候補

先週の月曜日(4月19日)に緑の党が予告通り、華々しくもスマートに、次期総選挙における自党の首相候補者を発表したことについては、前回、この欄で書いた。アナレーナ・ベアボック氏、40歳。精悍で若々しい雰囲気を醸し出す女性だ。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82502

9月26日、ドイツでは総選挙が行われ、16年間続いたCDU(キリスト教民主同盟)のメルケル政権にようやく終止符が打たれるとみられる。そのため、CDU/CSU=キリスト教社会同盟(この2党は常に同会派としてコンビで活動)の内部でも、先々週は次期首相候補者探しが沸騰していたが、先週になってようやく、CDUのアーミン・ラシェット氏が立つと決まった。

一方、緑の党は1980年創立で、CDUなどに比べれば、比較的新しい党だ。当初は、学生運動上がりが作った新左翼色の濃い党ということで、いずれ消えるだろうと思われていたが、豈図らんや、消えなかったどころか、今ではかなりの影響力を持つ。環境政党として有名だが、実は、中身は今なお、かなりの左翼でもある。

ただ、力を蓄えたとはいえ、これまでは流石に主要政党には数えられず、過去の総選挙で首相候補を擁立することはなかった。ところが今回、さまざまな偶然と、長年の作戦が功を奏したこともあり、その緑の党に首相府奪取のチャンスが巡ってきたと見られている。そして、彼らが首相候補として出してきたのが、このベアボック氏だったというわけだ。

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ベアボック氏は、これまで州でも郡でも、まだ一度も政治に関わったことがなく、党以外の何らかの組織を率いたこともない。ロバート・ハーベック氏と共に党の幹部になったのも2018年のことで(緑の党は党首を置かず、男女がペアで党の代表を務める)、その時でさえ、無名の女性の一足飛びの抜擢と言われた。

戦闘的なスピーチが上手で、恐ろしく頭の回転が早いのが長所。トークショーでもインタビューでも絶対に罠に落ちず、勇敢な姿で視聴者を楽しませてくれる。ドイツ人は、何と言っても、戦闘的なスピーカーが好きなので人気が高い。

一方、短所は、その発言の内容に中身のないことだと言われているが、なぜか彼女の場合、それさえあまり問題視されない。だから、普通なら、ここまで政治未経験の人間がドイツという大国の首相になるなどあり得ないことのはずなのに、何となく、今、それがありそうな雰囲気になってきた。

 

ハーベック氏を抑えて、彼女が首相候補として立った理由は、対抗馬であるCDU/CSUのラシェット候補も、SPD(社民党)が出しているオラフ・ショルツ候補も中高年の男性であるため、ここは女性を出すべきという党の戦略でもある。

どのみち緑の党は、男女平等に徹した党で、選挙の比例代表の議席数は、名簿を女・男・女・男の順にして、男女同数に揃えている。つまり、今回の首相候補の件も、最初からハーベック氏にチャンスはなかったと言える。

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