# 鉄道

鉄道技術の「元祖」は日本ではない…海外展開を実現させるための「3つの視点」

「高輪築堤」の出土を機に考える
川辺 謙一 プロフィール

独特の地形が鉄道普及を妨げる

その後日本は、イギリスだけでなく、アメリカやフランス、ドイツからも鉄道技術を輸入した。とくに技術的なノウハウが詰まった蒸気機関車は、国産化が難しかったので、長らくこれらの国々から輸入せざるを得なかった。

また日本の鉄道は、その特殊性ゆえに、鉄道技術を自国の条件に合わせてアレンジする必要に迫られた。多くの鉄道で狭軌(世界標準よりも狭いレールの間隔)を採用したので、海外の車両をそのまま輸入できない。

地形の起伏が激しいゆえに、坂やカーブが緩い線路を敷設することが難しい。地盤が軟弱な地域が多いため、重い機関車が導入できない。大都市圏では人口密度が極端に高いゆえに、ラッシュ時に押し寄せる大量の旅客をさばかなければならない。これら課題は、欧米の鉄道技術をそのまま吸収するだけではクリアできなかった。

それゆえ日本の鉄道は、技術のアレンジに時間がかかり、自立が遅れた。日本の鉄道に合う本格的な大型蒸気機関車を独力で開発し、輸入技術に頼らずに国内で量産できるようになったのは、昭和に入ってからだ。

以上のことは、一般にはあまり知られていない。だから「高輪築堤」が出土して日本初の鉄道に注目が集まった現在は、あらためて初心に帰る絶好の機会である。

 

(2)の「客観的に見る」は、自らの立ち位置を認識するうえで重要だ。たとえ日本の鉄道に優位性があったとしても、それが世界全体でどう評価されているかを知らなければ、他国に鉄道技術を売り込むことはできないからだ。

現在鉄道技術の潮流の中心は欧州にあり、欧州が決めた鉄道の規格が、事実上の世界標準となっている。しかも欧州の国々は日本よりも先に鉄道技術の輸出を果たし、多くの場数を踏んでいる。

それゆえ日本が他国に鉄道技術を売り込もうとすると、規格や輸出実績などの大きな壁が目の前に立ちはだかる。

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