吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。
岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。
吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。
時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。
その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。
DNA鑑定で犯人特定できる
岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。
罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。
実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。
その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。
吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。
岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)