伝説の事件記者がはじめて語る「グリコ森永事件」6人の犯人像〈後〉

元毎日社会部・吉山利嗣氏✕岩瀬達哉氏
岩瀬 達哉 プロフィール

吉山 それで犯人の指示に従って神戸市三宮にある地下駐車場の乗用車のトランクに現金3000万円入りの袋を入れたんですね。そしたらその後、犯人から連絡が途絶えたんです。それで車のトランクを開けて調べたところ、トランクの下にベニヤ板で細工していたんですね。

トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。

このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。

岩瀬 面白い話ですね。

 

犯人グループ6人の構成

吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。

だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。

そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。

その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。

岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。

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