歯が汚いでは済まされない「歯周病」

2歳以上の犬の80%は歯周病だという報告がある。犬は人間より歯石が付きやすく、歯についた歯垢は何もしなければわずか3日で歯石に変わってしまう。そして、歯周病は年と共に唾液の分泌が減るため重症化していく。

歯周病が「ただ歯が汚いだけ」の病気なら放っておけばよいのだが、残念ながらそうではない。歯周病は慢性の進行性の炎症性疾患であり、人では口腔内細菌が全身の疾患に関与しているという報告もある。

歯石が溜まった状態。放置すると、他の疾患を引き起こすことも。photo/iStock

犬でも、悪化すると下顎が折れたり、鼻先の皮膚に穴が開いて膿が出たりすることもある。人間と違い、入れ歯やインプラントなどは普及していないので、最終的に悪くなった歯は抜くしかなくなり、「自分の歯で噛んで食べる」ということはできなくなる。

また、歯に痛みがあると、食欲が落ちたり、口を触られるのを嫌がってトリミングも困難になることもある。ガッチリと歯についた歯石は歯磨きでは取れないため、全身麻酔下での歯科処置が必要だ。年に1回全身麻酔下で歯石掃除をしている犬は、していない犬に比べて死亡リスクが18.3%低下するという研究結果もある。

あまりに高齢だったり、他の病気があると全身麻酔をかけられないこともあるため、早いうちに動物病院にてしっかりと歯のケアをしておくことが望ましい。

歯がしっかりしていると食欲もキープでき、QOLもあがる。これも人間と同じだ。photo/Getty Images