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ミャンマー国軍司令官も参加…!「ASEAN首脳会議」で決まったこと

予測していた以上の成果があった

対面でのASEAN首脳会議が実現

その短躯の男は、4月24日午前11時10分、機体に「Myanmar」という青字が入ったミャンマー国際航空の特別機に乗って、インドネシアの首都ジャカルタに降り立った。ミン・アウン・フライン国軍総司令官(64歳)。2月1日にミャンマーで軍事クーデターを首謀し、この時までに745人(市民団体発表)ものミャンマー市民の命を奪った治安当局トップである。

空港で待ち受けた報道陣は、第一に、ミャンマーのクーデター首謀者が本当に現れたことに、第二に、いつもの迷彩色の軍服ではなく、背広姿で青色のネクタイをぎこちなく締めて現れたことに驚いた。

フライン総司令官を乗せたリムジンは、そのままジャカルタ南部のシシンガマンガラジャ通りに一昨年8月にオープンしたASEAN(東南アジア諸国連合)新事務局ビルへ向かった。世界が注視する渦中の人物が、クーデター以降、初めて国外に出てきたことで、沿道などに4400人もの警官が張りつき、特別警備態勢にあたった。

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フライン総司令官を乗せたリムジンが新事務局ビルに到着すると、一斉にカメラのフラッシュが焚かれた。総司令官のネクタイは、なぜか空港での青色のものから赤色のものに変わっていた。

空港では飛行機の色に合わせ、会議場では国旗の色に合わせたのだろうか? そんなことにまで気が回るということは、厳粛な表情とは裏腹に、案外と余裕綽々だったのかもしれない。

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この日の午後、ASEAN首脳会議が開かれた。本来なら10月に行う予定だったが、ミャンマー情勢の対応は10月まで待てないということで、緊急の首脳会議招集となった。また、コロナ禍にもかかわらず、昨今主流となっているオンライン会議ではなく、対面での会議とした。そのあたりにも、込み入った会議であることを予期させるものだった。

新事務局ビルの特別会議室でフライン総司令官を待ち受けたのは、ASEAN各国の9人の首脳たちだった。

具体的には、議長席に今年のASEANの輪番議長国であるブルネイのハサナル・ボルキア国王、そして楕円を描くようにして、カンボジアのフン・セン首相、地元インドネシアのジョコ・ウィドド大統領、マレーシアのムヒディン・ヤシン首相、シンガポールの李顕龍(リー・シェンロン)首相、ベトナムのファム・ミン・チン首相、タイのドーン・ポラマットウィナイ外相、フィリピンのテオドロ・ロクシン外相、ラオスのサルムサイ・コンマシット外相が座った。フライン総司令官の席は、奥側の「客席」である。

ASEAN首脳会議のはずなのに、タイのプラユット・チャンオチャ首相、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領、ラオスのパンカム・ウィパーワン首相の3首脳は顔を見せなかった。そのことについて、タイとフィリピンの当局は、「わが国のトップは国内のコロナ対策に忙殺されているため」と、記者団に言い訳した。ラオスはノーコメントを貫いた。

 

実のところ、強権国家ほどいまのミャンマー国軍の行為を非難しにくいという事情がある。強権国家の状況も、ミャンマーと五十歩百歩だからだ。そのあたりにも複雑なASEANの事情が垣間見える。

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