フランスと日本に暮らして気づいた、親が「子供の読書に求めるもの」の違い

大野 舞 プロフィール

これは「大人」の読書に対する態度であるが、親が子供の読書に対して求めるものにも影響を与えていることだろう。実際、日本で編集者をしているフランス人の友人によると、日本の子供向けの本は教育的側面をアピールするとよく売れるそうだ。

 

フランスにも「教育的配慮」はあるが…

子供のための本であれば、「楽しさ」は必要不可欠だ。どんなテーマであれ、とにかく子供が楽しんで読めるものであることが「本を作る側」としては大きな前提なのはどの国でも同じはずだ。

しかし、親たちの本当の目的やそれをどこまで重要視するのか、そもそも読書がどのように位置付けられているのか、などという本の受け入れ方という点に関しては国や文化、そして時代によっても異なってくるのかもしれない。

上述の落合恵子さんは別のインタビューで、今はロングセラーとなっている『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック/作、じんぐうてるお/訳 冨山房)について、「最初にこの本が世に出たとき、いたずらを奨励するようだしといった理由などで、教育上問題があると大人たちの一部からは批判があがりました。けれど、はじめにこの本に拍手を贈り、歓迎したのは子どもたち」と述べている。

これは時代とともに本の受容のされ方は変わっていくということと、子供が「面白い」と思うことと親が求めていることには多少なりともズレが生じるものだということを明確にしてくれるいい例なのではないだろうか。

もちろん、フランスでも、親が本選びについて「教育的配慮」をするケースもなくはない。たとえば、最近のフランスの小学生たちに超がつくほど大人気の『Mortelle Adèle(猛烈アデル)』というBD。書店でもこのシリーズだけは突出して売れており、お誕生日会でプレゼントとしてもらっている子もよく見かける。すごい人気なので、小学生くらいの子供を持つ親であれば誰でも知っている。

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