フランスと日本に暮らして気づいた、親が「子供の読書に求めるもの」の違い

大野 舞 プロフィール

トッド氏が語ったこと

なんとなく感じていた日本とフランスの違いをはっきり意識したのは、つい先日、フランスの人口学者、エマニュエル・トッド氏と雑談をしていた時のことだ。

子供の教育や読書の話になると、トッド氏は、「とにかく、なんでもいいから没頭して読んでいればそれでいい。楽しんで読むということが大事。そうやって自分は子育てをしてきた。親から見て面白くない本でも子供がひたすら読んでいるならそれでいいし、それが一番大事だろう」と言った。

教育的な内容かどうかなんて二の次、というわけである。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

フランスの「子供向け本」と一口に言っても、幼児の時に読む絵本からちょっとした小説、さらにはBD(いわゆるフランスのマンガ)など、年齢別にいろんな種類の本があるけれど、トッド氏の言葉を念頭にフランスの子供の本の専門書店を見ると、たしかに全体として、学習的、あるいは教育的な側面があまりアピールされていないように見える。

そこで、フランスの子供の本の専門書店を経営する友人に、書店での親子の様子を聞いてみた。すると、とにかくまず子供たちが気に入った本を手に取り、親たちはそれに付き合いながら、「どれが好き?」と子供に聞きながら、あくまで子供が好きなものを選んでいくという。だからディスプレイも何もかも全てが子供目線で低い位置に作られている、と。

もちろん最終的に本を買う「客」は親たちだから、書店としては親にもアピールをする必要がある。では親たちが喜ぶ子供の本とはどんなものなのかと聞くと、「ludique(リュディック)」つまり遊び心のあるもの、面白いものが一番だというのだ。さらに、「子供の本に関しては教育的な側面があるかどうかというのはそこまで重要ではない」と友人は言った。

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